ハーメルン
リリカルに立ったカメの話
11 議会とデート。

そしてその翌日。世界、というかその一部、上層部は派手に荒れたらしい。

体長60メートルを超え、平然と人を喰う超巨大生物の存在と共に、ソレを撃破した人型機動兵器の存在。そして中国で回収された、撃破された巨大生物の存在について。

先ずTSFに関しては、即座にB&Tに連絡が入った。何故無許可で戦闘をしたのかと、中国政府からの盛大な苦情と、潰されたくなければあれを寄越せ、という圧力と共に。
それを月村とバニングスは盛大に拒否。アレはギーオスの被害で実験場を引き払う際、何者かに強奪され、勝手に使用されたのだと。

これに中国政府は怒りを顕わにしたのだが、逆に「ならば貴方達の誤爆で起きた我々の被害を賠償しろ」と言われ、あえなく撃沈。事実中国製のミサイルは明後日の方向に飛び、幾つかはB&Tの試験演習場まで飛んで来ていたのだとか。どれ程明後日の方向に飛んでいるんだ。

そうして中国政府の苦情は黙らせたのだが、今度は世界中から「あの機体を売ってくれ」という要求が届けられた。特に某『自称・世界の警察』からの要求は凄まじく、仕方無しにTSFを生産。世界各国にイーグルやバラライカ、ジャンジなどをばら撒く事に。

大体の技術は国際特許を得ているので問題ないし、技術も解析すれば理解できるレベルの物が多い。どうせコピーされるなら、此方から恩を売る形でばら撒いたほうがいい、という打算だそうだ。
で、TSFを得るという動きと同時に、ギーオスの驚異が世界各国で話し合われだした。

というのも最初にギーオスの驚異を説いていたのが月村子飼の学者(長峰博士)であり、その関係企業がそれに対抗する手段を独自に模索していた。肝心の国家は何も対抗手段を考えていないどころか、そもそもその驚異を一笑に付せていたのだ。
これに某内閣だとか、某自称世界の警察の国だとかで盛大に政変が起こったりしていたのだがそれは余談。

早急にギーオスの驚異についての情報提供を国連議会で求められたB&Tは、即座にコレまで得られたギーオスの情報、更にソレを作ったと思われる古代文明からのメッセージを提出した。

「馬鹿な、古代文明の遺物だと!?」
「そんなオカルトを、この国連議会の場で論じろと言うのか」
「君は正気かね!?」

当然飛び出す暴言。頭にくるものは在るが、その場に参加した月村・バニングスの両グループとも、確かにオカルトだよなぁ、と頷いてしまい、逆に周囲が戸惑いを見せる。

「我々も、コレが我々の狂気で有ればいいと思うのですが」

そう言って提示されたのは、先ずギーオスの遺伝子データ。その存在がいかにおかしなものか、人造でもなければありえない存在であるかを説明した。
そうして次に提示されたのが、少し前に月村に持ち込まれた、突如消失した回遊環礁から見つかった碑文のデータであった。
其処に刻まれた文字、ルーン文字の亜種とされるそれを解析した結果、あの鳥のような怪獣がギーオスと呼称される存在であり、人の文明を滅ぼしかねない危険物である事。同時に、何等かの対抗手段が後世に残された事が記されていた、と。

「対抗手段とは何かね」
「それは分りません。然し得られたデータの中に、ギーオスに対する実験のレポートのような物がありました」
「それは?」
「はい、要約すると、ギーオスにどのような攻撃が通用し、どのような攻撃が通用しないか、と言うものです。ただ、この中に少し……」

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