ハーメルン
リリカルに立ったカメの話
15 MとS

Side Teana

私の属する機動六課のフォワードには、二人の男性が所属している。

一人は御剣護。善人と言う言葉が服を着て歩いているような人物。元は陸士部隊所属の陸のエース、だそうだ。スバルに格闘術を仕込んでいるのを見たことが在る。
一人は鳳凰院朱雀。彼は前日の列車襲撃以降に六課に参入した嘱託の出向で、此方は才能にモノを言わせたいけ好かないやつ……に、見える。

が、ここ数日彼らとチームを組んで訓練を繰り返す内に、何となく見えてきたことが在る。

確かに御剣二等陸士はいい人だ。だけれども、アレでは毒にもクスリにもなりはしない。辛いときに優しく慰め、再び前へと引っ張る人間。でもそれは、隊長陣も同じ人種。べつにその役割は機動六課には求められていないし、彼に出来るのは当に前衛のみ。

それに比べ、鳳凰院さん(階級も無いのでこう呼んでいる)は、嘱託の出向であるというのに、矢鱈と軍事に詳しいように感じる。

御剣二等陸士が「みんな、出来る事をやろうぜ!」という人なら、鳳凰院さんは全員のスキルを確り把握した上で、其々に役割を振り、それをしっかりとこなさせる、と言うもの。

また鳳凰院さんは何処かふざけた印象が在るものの、多分あのナンパはフリだけ。一度試しに食事に誘われてみたのだが、本当に食事だけでしかも奢られてしまったのだからもう頭が上がらない。

機動六課の中での視線は、御剣二等陸士に好意的、鳳凰院さんには否定的とまでは言わないでも、一般職員は彼を苦手にしているみたいだ。
因みに、御剣二等陸士は鳳凰院さんに対して否定的、鳳凰院さんは御剣二等陸士に対して無関心。

アレは、なんだろうか。大人に対してライバル心むき出しの子供と、子供を全く相手にしない大人、といったかんじ、なのだろうか。

因みに隊長陣からの評価は、二人とも同じレベル。ただ過去に隊長陣と何かあったらしく、少し鳳凰院さんは御剣二等陸士に比べよそよそしい。
とはいえ、現場職員から信頼が厚いのは……多分、鳳凰院さんだろう。



「スバルのお父さんとお姉さんは、陸士部隊の方なんだってな」
「うん。八神部隊長も一時期、父さんの部隊で研修してたんだって」

と、隊の食堂で大量のスパゲッティーが乗った大皿を机の中心において。いざ喰わんとするところで、不意に御剣二等陸士がそんな事を言い出した。

「あのはやてが研修……ねぇ」

何かしみじみと言う御剣二等陸士。
これはもしかしてチャンスかもしれない。さり気無く、少しだけ探りを入れてみようか。

「しかし、ウチの部隊って関係者つながり多いですよね?」
「隊長たちも幼馴染同士なんでしたっけ?」

「そうだよ。なのはさんと八神部隊長、あと鳳凰院さんと護くんも同じ世界出身で、フェイトさんも子供の頃はその世界で暮らしてたとか」
「えっと、確か管理外世界の97番」
「97番って確か、ウチのお父さんのご先祖様が居た世界なんだよね」
「そうなんですか?」
「うん」

そういうスバル。確かに、あの世界からこちらの世界に来る人間と言うのは、実は多々事例があるらしい。と言うのもあの世界、突然変異的に莫大な魔力を持った人間が発生するという特徴が在るのだが、その莫大な魔力を持った人間が、ソレを切欠として次元漂流者になる、と言う事件があったらしい。

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