ハーメルン
テイルズオブジアビスAverage
第17話 気高き女王とその配下達


「ともかく、導師イオンの案は最終手段といたそう、あははは。まっ、確かに何事にも誠意は肝要……『人のため、チーグルのため、ライガのためにも知恵を出し合いましょう』って話でござる。」

 コゲンタは、「うんうん……」と頷きながら言った。そして、ルーク達を見回すと、

「まずは、そうだの……。我ら人が、選べる道は単純に三つだな」

 三本の指を立てつつ、語り出した。

「一つ目は、ライガを退治する事。二つ目は、ライガにどうにかして立ち退いてもらう事。三つ目は、ライガと共存していく事。こんな所だの。」

 コゲンタは、指を一つ一つ折りながら言うと、もう一つ頷いた。

「一つ目は、不可能な事ではないし、昔からそうされてきたが……。エンゲーブの者としては避けたい。村を守るためとはいえ、柵なり堀なりを作るために畑を潰すのはのぅ……。人足として駆り出されるもするだろうしの……なにより、ライガとて自然の摂理の一員、根絶やしにすれば巡り巡って人間にもどんな災禍が降り懸るか分からぬ」

 コゲンタは、折った人差し指をまた立て、言った。

「二つ目は、まぁ、これが一番現実的かつ理想的かの? しかし、問題は転居場所の確保だの……。場所の目星が付いてないんじゃぁ、アコギな地上げ屋と変わらぬからの……。あははは」


 二つ目と、中指を折って苦笑した。

「ぼくは、そんなつもりでは……」

 イオンは、コゲンタの言葉に少なからず動揺して言葉を詰まらせる。

「や、もちろんですとも。失礼ながら、導師イオンはまだまだお若い。これからですぞ。色々憶えなくてはならぬのは……、あははは」

 しかし、コゲンタは間髪入れず笑顔で補足する。

「……はい!」

 イオンは、それに安心したように微笑んだ。
 まるで、教師と教え子のようなやり取りに見えた。

「三つ目だが、こりゃ最早、浪漫の領域だの。しかし、会話ができるのなら話は別だ。共存と言っても『みんなでオテテつないで……』って事だけじゃない。利害の一致、商売、お互いを利用し合う事も共存共栄の一つだの」

 コゲンタは三つ目と薬指を立て、頷いた。

「ところで、ブタザルよぅ。お主らチーグルは、食い物をわしらから『買う』事はできぬか? 買ってくれるとなりゃぁエンゲーブとしては大歓迎なんだがの? あははは」

「ミュ……? わかんないですの……。ごめんなさいですの……」

「まっ、そうだろうの。こりゃぁ、お主の爺さまに聞く話だったなぁ。忘れてくれ。」

 コゲンタは、本気なのか冗談なのか分らない事を言った。しかし、奇想天外な事を言う。

「『買う』って……。コイツら金なんか持ってんのか? ドラゴンみたいにお宝をタメ込んでるとか?」

 ルークが、ミュウを見おろしながら言った。

「ミュウ、おいしい木の実ならありますの」
 
 ミュウが答えた。

「物々交換ならできるかしら?」

 それを聞いたティアが思い付いたように言った。

「ブツブツ……?」

 ティアの言葉を聞いたルークが、首を傾げた。

「簡単に言うと、自分の欲しい物を相手の欲しい物で交換する事ですよ」

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