ハーメルン
ナザリックへと消えた英雄のお話
公都

「推定神官たって、あんな匙より重いものも持った事が無さそうな娘っ子はなぁ……いくら何でも無理だろう。説得すんのは速い方が良いやな」

 荒れくれの冒険者らしからぬ善意的で良心的な判断が纏まり掛けた時だ。一人の男ぼそりと声を挙げたのは。

「今日ってよ……リウルがいるんじゃなかったか? ほら、あの……」

 リウルと云う人名は、冒険者たちに雷鳴の如く響き渡った。さっきまで腰を浮かしかけていた男がどすんと椅子に落下し、他の席の男たちと気まずそうな視線を交換する。

「……俺は無理だ、最初の頃にモロ本人に言って怒りを買ってる」
「この前蹴っ飛ばされたばっかりだし、今日は一段と機嫌が悪そうだったからな、俺も遠慮するよ」
「あの外見じゃあパッと見分かんねぇよなぁ……無理だ、俺もパス」


 さっきまでの意見をかなぐり捨てても、そのリウルという人物には関わらないという意見で男たちは一致している様だった。
 苦虫を噛み潰した様な表情で酒を飲み下し、男たちは口々に呟く。


「公国に三つしかねぇオリハルコンチームのメンバーが、なんだってこんなしけた宿なんかに……」
「財布の紐がかてぇんだよ、飲食と仕事以外ではな。寝るとこなんか安ければ何処だって構わねぇってやつだからな」
「さっきの三つ編みの嬢ちゃん、無事だと良いがなぁ……」

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