ハーメルン
ナザリックへと消えた英雄のお話
公都:面接

「ふむ……本業は五体を武器に戦う前衛、モンクだと思っていいわけか?」
「すいません、僕はモンクとは系統が違うんです。気功などは出来ません。殴るだけです」
「ほう。世間一般に知れておるモンクとは系統の違う拳士とは、珍しいのう。具体的にどのように違うのか、もう少し詳しく説明してもらっても良いかな?」

 面接は概ね恙なく進んでいた。

 各チームの代表者たちから話を聞いて、今は暫定所属チームのリーダーであるバルドル以外は下がって貰っている。彼らはパールスに先導されて、組合にイヨの特例昇級措置を訴えに行った。何分急な話だから、こちらの面接が済む前に訴えに対する結論が出る事は無いだろう。

 バルドルは保護者的な立ち場の人間として面接に参加していた。一応イヨの力量に関しては了解し、今はもう少し細かい質問を重ねて、答え方から人格を見る段階に入っている。

 リウルとイヨの間柄に付いてバルドとベリガミニの二人も、流石にチームの今後に関わるこの時に弄くり回す気は無いようだった。採用にしろ不採用にしろ、後で間違いなくなんだかんだと言われるだろうが。

 しかし、まさかイヨが其処まで飛び抜けた力を持っていたとは。冒険者たちが語ったイヨの力は信じがたいものだった。実戦とは違うとはいえ、一人で数十人の相手をして屈しないとは、桁違いの一言に尽きる。

 イヨ一人で訪ねて来ていたら絶対に信じなかった自信がある。それ位非現実的である。何処の誰がこのお子様以上にお子様な十六歳が事実強いなどと云う話を信じるものか。
 まだ魔法詠唱者として優秀とかだったら信じる可能性もあっただろうが、前衛として強いなど、百人いたら九十八人が信じないレベルである。
 信じた二人の内一人はイヨの身体を狙う変態で、もう一人は孫と同一視した婆さん位だろう。

『僕は強いんですよ!』
『そ、そうなのかい? ちょっとあっちの方で実演してみてくれないかなぁ、お嬢ちゃん。うへへ』

『僕は強いんですよ!』
『そうなのかい? 小さいのに偉いねぇ。よしよし』

 脳裏でリアルな光景を想像してしまい、リウルは吹き出しかけた。お似合い過ぎる。

「なので、戦士並の重装甲を装備する事も出来て──リウル、どうかした?」
「ん、んん! 何でもねぇよ。で、お前はその重装備を何処に置いてきたんだ? 宿の部屋に入って来た時から手ぶらだったけどよ」

 イヨとリウルは昨日と同じくため口だが、イヨが最初に特別扱いはしないでほしいと明言している為、あくまで能力面人格面を鑑みて、純粋に仲間足り得るかどうかを審査している。まあ、元よりリウルにイヨを贔屓する気は一欠片だに存在しないが、口に出して周知の事実にする事そのものにも意味はある。

「イヨ、お前、俺らと手合わせした時も最初から最後まで無手だったよな?」
「僕の武器って毒がありますから、練習で使う訳にはいかなくて。しまってあるんですよ」
「何処にだ?」
「えっと──」

 イヨは何やら虚空へと手を伸ばすと──その手首から先が宙に消えた。

「……は?」

 驚愕と不可解で空気が凍った。冒険者たちが揃って腰を浮かして身を固め、見ている光景を理解しようと頭を回す。アレは何だと心中で疑問を叫ぶ。
 何らかの魔法か、マジックアイテムか、それともタレント【生まれながらの異能】? 

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/8

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析