第二次スーパーロボッコ大戦 EP10
「むゥ………」
釣り竿(※ナノマテリアル製)を垂らしたエイラが、ボートの上で唸りながら当たりを待つ。
やがて、彼女の使い魔の黒狐の耳と尻尾が出ると同時に、ウキが僅かに沈む。
「まだダ、まだ………」
何度かウキが上下するが、エイラは竿を引こうとせず、固有魔法の未来予知で一番引きが強くなる瞬間に合わせ、一気に竿を引いた。
「ぬ、この、よっシゃ~!」
途中リールが引っかかるが、完璧なタイミングで引き上げられた中々の大物を手に、エイラは笑みを浮かべる。
「よ~し、上げてクレ~」
エイラの合図と共に、大戦艦コンゴウから吊り下げられていたボートが引き上げられていき、甲板の上へと乗せられる。
「これ位取れれバ、今日の分は大丈夫なんだナ」
「調味料がお塩しかないけど、何か工夫してみる」
「海水から調味料という物が作れるとはな」
「お前、ホント世間知らずだナ………」
バーベキューコンロの隣でコンゴウがサーニャの注文で造った簡易キッチンが準備され、コンゴウはエイラが釣ってきた魚の調理を始めるサーニャを興味深そうに見る。
「そうカ、食う必要が無いって事ハ、料理も知らないノカ」
「一度ヒュウガが用意しているのは見た。ほとんどナノマテリアル製だったが」
「腹壊さないノカ、ソレ………」
エイラが呆れる中、サーニャがウロコを落とした魚に塩を振り、バーベキューコンロに載せる。
「コンゴウさん、火力もう少し」
「こうか」
コンゴウがバーベキューコンロの火力を制御するが、突然温度が上がり、コンロの上の魚は消し炭と化す。
「強すぎ」
「ぬ、済まない」
「サーニャが火傷したらどうしてくれンダ!」
「まあ初めてなんだし」
怒声を上げるエイラをサーニャがなだめ、再度下ごしらえに入る。
「あ~、宮藤や坂本少佐だったラ、サシミとか言って生で食うんダが」
「そういうのもあるのか」
「私らがいた統合戦闘航空団ってのハ、色々な国からウィッチが来てるからナ。料理上手い奴は自分の国の料理作ってくれたりするンだ。独特過ぎて食えない奴もいたケド」
「ペリーヌさんなんて特にそうだったね」
「坂本少佐が食うナラ食ってたけどナ」
思い出しながらサーニャが笑う中、エイラも思い出して笑う。
その様子を見ていたコンゴウが、僅かに表情を崩す。
「さて、今度こそちゃんと焼けヨ?」
「保証はしかねる」
「今度はゆっくり温度上げてみて」
試行錯誤を重ねていく中、結局エイラはもう一度釣り竿を垂らす事となった。
「あれがそうかい。驚いたね、本当に二時間で来たよ………」
テアトルシャノワールの支配人室から、朝日の中に溶け込んでいる影に気付いたグランマは、驚きながら抱いている愛猫ナポレオンを撫でてやる。
毛を逆立て、光学迷彩で姿を隠したまま近づいてくるカルナダインを威嚇するナポレオンに、グランマはそれをなだめようとするが、やがてナポレオンは窓際から逃げ出してしまう。
それと入れ替わりに、メルが支配人室を訪れる。
「支配人、通信入りました。降りれる場所の有無を聞いてますが………」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/16
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク