ハーメルン
阿礼狂いに生まれた少年のお話
閑話 阿礼狂いの友人のお話

「あ――」

 視界が開けた気分だった。伽耶の言葉が、おれの胸のどこかにストンと落ちる。

「確かに、普通の人と違うところがあるんだと思う。それがいつか私たちを遠ざける原因になるかもしれない。――でも、その時が来るまで、友達を続けることはできると思うんだ」
「伽耶……」
「だから私はノブくんの友達。――勘ちゃんは、どうしたい?」
「…………」

 目を閉じて自分の胸に問いかける。このまま終わって良いのかと。あんな一方的な言葉で、今までの関係を終わらせて良いのかと。



 ――答えは決まっていた。



「……伽耶。ありがとうな。目ぇ覚めた」
「ふふ、どういたしまして。……勘ちゃん、頑張ってね」
「おう! ちょっとノブ探してくる!」

 あいつの顔を見て、もう一度話をしよう。それでもう一度友達になろう。
 そうなったら、あいつのあの時の態度を一生弄り倒してやるんだ。

 ずっとくすぶり続けていた何かに火がついた気分だった。今なら、あいつの目にも対抗できる。

 おれは数時間後に待っているであろう、三人一緒の楽しい時間を目指して走り出した。







 ノブは大切な友達で少し、いやかなり人と違う部分がある男だ。
 だけどあいつは誰かに優しくあろうとしているし、おれたちはそれを知っている。

 だからこの先もずっと――あいつは最高の親友だ。

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