拝啓:母さん、私のデバイスが出来ました
私が生き返ってから1年8ヶ月。王様達と訓練すること1年6ヶ月。フェイトを愛でる事610日……ついにこの日がやってきた。私の目の前には待ち望んだ相棒の姿が……
「こちらが完成したアリシアさんのデバイスです。デバイスコアは7つ……7種類の姿を持つマルチデバイス、クロスレンジ用形態2、ミドルレンジ用形態2、補助用形態2……そして切り札が、カートリッジシステムに紫天の書の技術を加えたこの形態です」
「……これ、本当にこんな事出来るの?」
ユーリが書いてくれた説明書らしき用紙には、お気楽な私でもにわかには信じられない機能が搭載されており、ユーリの技術の凄まじさを感じると共に、こんなトンデモ機能が搭載されている事に驚いた。
「当然だ。我が監修をしておるのだ出来ぬ訳が無い」
「でも、こんな凄い機能なのに、何で一般に出回ってるデバイスとかには搭載されてないの?」
「理由は単純で、この機構を取りつけると他の機能に割く余地が無いので、マルチデバイスで無いと搭載できません。後単純に高価です……この形態だけで、武装隊一個小隊分のデバイスが制作できる程ですね」
「おっふ……」
機能もトンデモなら、お値段もトンデモだった。武装隊一個小隊分のデバイスのお値段って半端無いよ。つまりこの一形態だけで、フェイトのバルディッシュとほぼ同程度の金額って事じゃん。私への請求がマッハでヤバい。
「その他の形態も、軽くて強固な最新鋭の素材を余すことなく使用しています。中々出回らない物なんですが、ディアーチェがあちこちに頭を下げて手に入れてくれました」
「……余計な事は言わんでいい」
「……王様」
照れたようにそっぽを向く王様。くっそ、可愛い……もう王様も大天使で良いんじゃなかろうか……本当にマジで感謝の気持ちでいっぱいだ。
「まぁ、素材を節約して大事に至っても意味が無い……まぁ、精々我に感謝する事だな」
「サンキューおかん!」
「誰が貴様の母親か!? おぞましい事を言うな!!」
いつも通りの冗談を口にした後、少しだけ王様の目を見つめて……私は椅子から立ち上がり、深く本当に深く頭を下げる。
「……本当にありがとう。ディアーチェ……貴女に出会えなかったら、私は途中で諦めてていたかもしれない。ありがとう、私に戦場に立つ力をくれて……」
「……礼などいい。貴様がもし我に報いる気があるのであれば……見せてくれ、生まれ持った才能など覆し、頂点と渡り合う凡才の姿を……期待しているぞ、アリシア」
何気に互いに名前を呼んだのは初めてかもしれない。いつもは王様にチビひよこだったから……互いに何も飾らない、心からの感謝と激励の言葉。これは本当に頑張らないといけない。王様がここまでしてくれたんだから、キッチリ思わしてあげないと、私の為に頑張ったかいがあったって……
「王様あぁぁぁぁ!」
「ええい、ひっつくな! 鬱陶しい!!」
「ふふふ、ツンデレさんめ、嬉しいくせに~」
「何処をどう見たらそうなる! 消し飛ばすぞたわけが!」
とりあえず今は感謝の気持ちとして、王様に飛びついておくことにする。
「ふふふ……さて、アリシアさん。この子に名前を付けてあげて下さい。個別の名前では無く、全体を纏める貴女のデバイスの名前を……」
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