ハーメルン
オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?
17話「撤退してください!敵、最大推定レベル4!」





リリルカ達が逃げ始めてから4分ほどたった頃。タケミカヅチ・ファミリアのホームでタケミカヅチは猿師と縁側でお茶を飲んでいた。話す内容はもちろん自分の子供についてだ。他にもミアハ・ファミリアとの商いの話であったりととても有意義なものだ。

「いや〜、ウチの純鈴はいいお嫁さんになるでごザルよ〜」
「ハハハ、何を言うかと思えば。そんなこと言ったら俺のとこの命も千草も妖夢もいい嫁さんになるさ」
「そうでごザルかぁ?妖夢殿は包丁で家ごと斬ってしまいそうでごザルがなぁ!ハハハハ!」
「炊事洗濯家事全般に戦闘も出来る、ちょっと抜けてる所もあるが真面目で裏切らない。・・・フッ、我が子ながら完璧だな!しかもこれらの条件が3人ともしっかりと備わってるからな!」
「ふむ、抜けてる所もあると言っているのに完璧でごザルか・・・なるほどこれが親バカか」

そんなふうに親馬鹿共が娘自慢に花を咲かせていると目の前の地面から白い何かが飛び出してくる。

「「!?」」

驚く2人を他所に白い何かは形を変え、人の形をとる。

『タケ!不味いことになった!桜花達はどこだ!?』

大声を上げたのはハルプ、その表情は焦っているのがハッキリと分かった。どうやら桜花達を探しているようでタケミカヅチは詳しく聞き出そうと問いただす。

「ハルプか、一体何があったんだ?」

そしてその後に放たれる言葉に2人は唖然とする。

『ッ!?くそっ!悪いタケ、こっちに集中力を裂いてる余裕はない!手短に言うぞ!ダンジョン11階層に推定レベル4のモンスターが現れた!今は俺が食い止めているがどうにか援軍を呼んでもらいたい!お願いだタケ!絶対に命達をダンジョンに行かせるな!』

ハルプは一方的にそう叫び半霊となって地面に消えていった。タケミカヅチは額に手を当て天を仰ぐ。数時間前から共に居た猿師も同様だ。

「なんてこった・・・あいつらもうダンジョンだ・・・」
「と、取り敢えずは・・・ギルドに・・・・・・。いや、ロキ・ファミリアに行くでごザルな」
「そうだな、俺がそっちに行く、猿師、お前はギルドに行ってきてくれ」
「妖夢殿は何時まで持つでごザルか?」
「敵にもよるが・・・15も打ち合えばまず負けは無いだろう・・・無論、一対一ならだがな。」
「なるほど、ならば早くせねば」



「リリィィィィィィィィ!!」

火炎は絶え間なく放たれた、キラーアントを焼き付くし、紫紺のナイフと短刀を振りなおも突き進むその白炎は私の前で止まる。

「リリ!!大丈夫、ねえ!?僕のことわかる!?」

初めは誰かわからなかった、けれどすぐにわかった、綺麗な白い髪をしていたから。喉が詰まる。痛いくらいに私の肩を握りしめる、慌ててレッグホルスターから取り出したポーションが口元に寄せられる。咳き込みながらも一口飲み、質問に答える。

「・・・ベル、様?」

「そうだよっ無事だよね?」

こちらを安心させようとしているのか涙ぐみながら笑い聞いてくる。胸が・・・痛い。

「いつもみたいに待ってて?」

ベル様は最後にそう言い残し立ち上がる、柑橘色のポーションを飲み干し右腕を前に構える。

敵は30匹を超える。今でも正面からじゃきっと勝てない。・・・が、今は魔法があった。

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