ハーメルン
聖闘士星矢~ANOTHER DIMENSION 海龍戦記~改訂版
第17話 交差する道!の巻
「ふむ。驕りや増長――と笑う事は出来んな。お前の強さにはこれだけの大言を吐くだけの資格がある」
アルキュオネウスがシュラへと向かい歩を進める。
「このアルキュオネウスと戦う資格も、な。お前の言う聖剣程ではないが、私もこの右拳には少々自信があってな」
一歩一歩、その歩みが進む毎にアルキュオネウスからの威圧感が増大する。
それは意識や感覚を超えて、物理的な圧となってシュラに重く圧し掛かる。
「……どうやら、貴様はこれまでに見たギガス達とは違う様だな」
そう、このギガスは違う。その身から感じる小宇宙は自分と同等か――それ以上。
理屈ではなく己の感覚に従いシュラが身構える。
じりじりと狭まる互いの距離。あと一歩、もう半歩で互いの間合いに入る。
そんな場所でアルキュオネウスがその歩みを止めた。
「我が名はアルキュオネウス、我らが王ポルピュリオン様に仕える三神将が一神アルキュオネウス」
先程放った拳撃の様に、アルキュオネウスが右拳を腰だめに構える。
「黄金聖闘士、
山羊座
(
カプリコーン
)
のシュラ」
対するシュラもまた右腕を掲げ、その手は手刀の型に。
「いざ――」
「――参る」
互いの間合いへと踏み込み、両者は同時に必殺の拳を放った。
「エクス――カリバーー!!」
「“
神屠槍
(
カタストロフ
)
”!!」
研ぎ澄まされた刃と鍛え抜かれた穂先。
剣撃と拳撃。
打ち合わされる剣と拳。
互いの視線は相手を射抜かんとばかりに交差する。
まるでそこだけ時間が停まってしまったかの様に、両者は互いの拳を打ち合せたまま微動だにしない。
ブン、と空気を震わせるような音を――シュラの感覚がそれを捉えた。
「――くっ!?」
静寂を苦悶の声が破った。
声の主は――シュラ。
振り下ろした右手――聖剣に、最強の黄金聖衣に亀裂が生じていた。
破損した右腕の聖衣、その亀裂から鮮血が滴り落ちる。
「どうやら私の拳の方が上であったようだな」
拮抗が崩れる。
アルキュオネウスの右腕が霞んだ。
肥大し、輝きを放っていた。それは、まるで光の繭に包まれている様であった。
再びブンッと音が鳴る。
「がはっ!?」
光の繭が弾けた。
打ち合わされた互いの拳を伝わり、波動がシュラの肉体の奥深くにまで浸透する。
抵抗する間もなく、それはまるで撃鉄に撃ち出された弾丸の如く。シュラはその場から文字通り弾き飛ばされていた。
洞窟の壁面へと叩きつけられるシュラ。その身体を覆い尽くすように砕かれた壁面が土砂となって降り注ぐ。
「ぐっ……むぅ……ッ!?」
「さすがは黄金聖衣。
エクスカリバー
(
聖剣
)
の一撃によって私の
カタストロフ
(
神屠槍
)
の威力が削がれていたとは言え、完全に破砕する迄には至らぬか。しかし――」
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