ハーメルン
オリ主が再びIS世界でいろいろと頑張る話だけど…side:ASTRAY《本編完結》
PHASE-24「二人の少年と翔真達の休日 」side:ASTRAY
新暦75年、クラナガン中央区コースト総合病院、同病室
「………………」
薄暗い室内で微かに何かが動いた。頭から布団をかぶり体育座りした少年の姿。研究所立てこもり事件から一週間が過ぎ病院へ運ばれ目を覚ました彼は心を閉ざしてしまった
それ以上に連日連夜のマスコミが押しかけテロリストに射殺された家族の唯一の生き残りの彼に取材をしようとし、今はあてがわれた個室に身を潜め外界から身を守るように閉じこもっていた
胸にあるのは生前の家族の暖かで楽しく過ごした日々…祖父、母、姉、妹と他愛ない会話やストライクアーツを妹と一緒に学んだ、姉から身体を鍛えろよと、祖父と母からは研究テーマを互いに論議していた
何時までも続くと思った日々はもう二度と帰らない…あの笑顔と声も温もりも
激しい絶望が心を深い闇へとおとしこむ…しかし扉の向こうから声が掛けられる
「………☆☆☆☆。起きてるか……あ、眠ってるよな…もし起きてたら聞いてくれ」
遠慮しがちな声に意識を向ける、声の主はニックと言う人物…病院の医師なんだろうと思いながら目を閉じ耳を押さえる
誰の声も聞きたくない。意識が目覚めた彼に待ちかまえていたマスコミが押しかけインタビューをしてきた。中には失礼きわまりない内容《今の気持ちはどうですか?》《答えてくださいよ》《あなたが生き残れたのは何故なんですか?》
家族を失った彼の心に突き刺さる刃のような言葉から逃げた…なんで、なんでこんな事にと何度も何度も自問自答した
「………すまなかった。俺たちが早く突入していれば……すまない……☆☆☆☆☆」
扉の向こうからの謝罪の言葉はもう届かない。布団にくるまろうとした時、堅い何かに足があたり空間投影モニターが開き映し出されたのは会見場、たくさんの報道機関関係者が管理局地上本部提督《大東貴一》に質問を投げかけていた
「では、先日の立てこもり事件ででた犠牲者はアナタの判断ミスでは無いのですね?」
「テロリストからの要求、地球蒼生軍幹部の釈放と逃走経路の確保、そして大東提督の退陣要求があったと聞きますが。もし飲んでいれば犠牲者を出すことは無かったのでは?」
「飲めば彼らは大人しく人質を解放すると本気で皆様は思っているのですか?もし私が要求をのみ逃走し合流すればさらなる混乱が起こるでしょう。まだ残党は地下に潜み今回のようなテロよりもはるかに最悪な事件が起こりうる可能性があるのです」
……大東貴一提督のインタビューが流れていく。しかし彼の瞳には微かな怒りの火が見えた。要求をのめば自分の家族は助かったんじゃないのか?さらに驚くべき言葉を耳にした
「……テロリストと戦う以上避けられないやむおえない犠牲だったのです。今回の事件の犠牲となった四人に誓います。私は必ず地球蒼生軍残党、テロリストを廃し平和を取り戻すことを…」
「ふ、ふざけるなああああ!くそ!くそ!……帰せよ、母さんを、じいちゃんを、ノイン姉さんを、ハーティを………返せよう……」
モニターめがけ殴り抜く、しかし実体の無いモニターをすり抜け壁に拳がぶつかる。しかし何度も、何度も殴りつけ皮膚がさけ血が滴り落ちる…その瞳には怒りの炎が満ち鬼のような形相を浮かべ再び殴りつけようとした時、誰かに腕を握られた彼の目に映ったのはややウェーブがかかった黒髪にサングラス、黒のスーツにタイトスカートに身を包んだ女性のすがた
「……誰だよあんたは……」
「私はP・T。アナタに力を与える者…………復讐をしたいのでしょう?家族を奪った大東に……」
「……なら力を寄越せよ。アイツラに復讐するための力を!!」
「ええ、もちろんあげるわよ……来なさい。アナタの望む力を得られる場所に案内してあげる………《軍神の星》…火星に」
妖艶な笑みを浮かべ少年の手を取るP・T。数十分後、巡回の看護婦が来た時には二人の姿は無かった。そのことを知ったニックはつてを頼り探したが行方はようとして分からなかった
復讐の炎に身を焦がす少年はP・Tに誘われ向かうは軍神の星《火星》…大東貴一。Gspirits隊の首もとに突き立てる復讐の牙は確実に研がれ始めた
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