オセ、リバーシな!?
「りょーかい」
3人ですっかり晴れて、顔を出した太陽の光が降り注ぐ駐車場に出る。
ボディーガードは、ドッグミートだけのようだ。
「ついでに晩メシと、追加の酒も仕入れて戻るか。あの飲みっぷりじゃ、夕方にはなくなっちまいそうだ」
「だねっ。みんな、呆れるくらいのペースで飲むんだもん」
「楽しみなんて、お酒とセックスくらいしかないから」
「ズバリ言うんじゃないって、セイちゃん」
「そ、そうよ。セイはあたしより年下なんだし」
「でも、もう大人。そこの宿舎で試してから行く?」
ぐっ。
身長差があるので手首辺りに押し付けられたのはまったくのナイチチだが、これはこれで……
「鼻の下を伸ばしてんじゃないっ。セイも簡単に胸なんて押し当てたりしないのっ。いい、女の子はもっと」
「ミサキはそんな短いスカートで、いつもアキラの視線を独り占めしてるのに?」
「そっ、そんな事はっ」
すんません。
バレないようにいつもガン見してます。
宿舎のトイレがしっかりした個室なのは、脳内フォルダを有効活用するためです。ええ。
「師匠から貰った新品の下着、まだたくさんある」
「ええっ、いいなあ!」
「分けてあげるから、仲良くする。ミサキは第一夫人」
「……まだ言ってんのか、それ」
門を抜け、マリーナのではなく競艇場の駐車場を突っ切って正門へ向かう。
「先にボート見てく?」
「今日はいいさ。飲酒運転はしたくねえし」
「わかった。じいじの店は、プールのずっと奥。ボート部屋の手前」
「あいよ」
今は魚の養殖をしているという広いプールの奥には、レースで使うのより大きな船も2つ浮いていた。
これが動くなら、ちょうど9人ずつ分乗して探索や戦争時は奇襲に使えそうだ。
そう思った俺の考えを読んだのか、あれは壊れて動かないと申し訳なさそうにセイちゃんが言う。
謝らなくていいと言いながら小さな頭を撫でていると見えてきたのは、ジャンクの積まれた見るからに油臭そうな一角。
そのジャンクの間を縫うようにして辿り着いたドアを、セイちゃんはノックもせずに開けた。
「じいじー?」
「セイか。よく来たのう」
そう言いながらやはりジャンクが積み上がった机の前で相好を崩すのは、ジンさんよりも老いているように見える男性。
その目が俺とミサキに向いたが、視線はすぐに俺だけを値踏みするようなものに変わった。
不躾な行為なのだろうが、こんな世界なので気にもせず室内を見渡す。
「おいおい、プロテクトロンがあるじゃねえか……」
もしも動くなら、とんでもないお宝だ。
「若造。これが何か知っておるのか?」
「まあね。ご老人、そのターミナルは。鉄の箱は鍵盤に触れるとガラスの部分が光りますか? もし独立電源でそれが生きてるなら、ロボットを動かす事だって可能かもしれない」
「ええっ。ホントなの、アキラ?」
「ああ。ただこのプロテクトロンが、小舟の里の住民を客だと認識してくれるかはわかんねえけどな」
「もし侵入者か何かだって認識したら?」
「大虐殺が始まるだけさ」
「うわあ……」
「賢者もそう言っておったな。ついでに言うとこれは見た事がないタイプだからと、ターミナルには触りもせんかった」
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