出会い
「言っとくけどヘンな事しようとしたら、この拳銃で撃つわよ?」
「出来るとは思わねえが、好きにするといいさ。こっちに来たのはいつだ?」
「き、昨日の朝」
「まさか、それから飲まず食わずか?」
「……そうよ。バケモノに何度も追われたけど、なぜか着いて来るそのロボットが倒してくれたの。でも、食べ物や飲み物は」
「なるほどねえ。ならレベルも上がってて、もしかすると俺より上か。メシを用意しとくから、洗濯は後にして体を水で流して着替えだけしろ。説明に時間がかかるだろうから、今日はここに泊まる」
「ちょ、ちょっと」
俺と君は、ゲームの世界に来たんだ。
そう言ったら少女は、どんな表情をするだろうか。
俺を狂人と思うだろうし、自分もそうなってしまったと考えるかもしれない。もしかすると現実を受け入れられずに暴れたり、クリーチャーに発見されるのも構わず警察署に駆け込もうとかするかもしれない。
だがそれでも、俺は少女をこのまま見捨てられはしないだろう。
フォールアウトをロールプレイしていた俺のメインキャラクターは、チンピラ口調で話す腕の良いスカベンジャーだった。その男は口が悪いし生き残るためになら平気で人を殺したりもするが、女子供にはいつも優しいのだ。
アタマがおかしくなりそうだからか、いつの間にか無意識にそのキャラクターを演じていた事に気づき、俺は苦笑をしながら茶の間にどっかりと胡坐を掻いた。
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