セーブデータその7『ステンバーイ……ステンバーイ……』
正統派の勇者さまに、かなり変わった賢者さま。雲の上の人に見えるけど、その実親しみやすくて…………。この2人に会えたのは、このあたしイシュラ・アローネにとって、最高の幸運に違いない!
─────イシュラ・アローネ
[(((o(*゚▽゚*)o)))]
あたし、イシュラ・アローネは、ちっちゃい頃からとにかくやんちゃだった。女の子がするような遊び…………例えばおままごとなんか、一つもやったことがなくって、代わりに男の子に交じって駆け回ったり、虫取りをしたり、戦争ごっこしたり…………あれ、今思えばあたしって、相当おかしい?
でもあたしは、そんなことを気にしたりはしなかった。例え、お父様に姉様とは大違いと言われようと、あたしはあたし、姉様は姉様と割り切っていた。
だから、そんな男勝りなあたしが、大人に黙ってモンスターを倒そうとするのも、そんなにおかしくないことだったし…………
「キィィィィイイイイイイッ!」
「あ、ああ…………!?」
その向こう見ずな行動の罰を受け取ることになるのは、自然な流れだった。
目の前で、大きく振り被るのは、『ガードアント』というモンスター。私が倒したことのあるジャイアントアントよりも大きいその体と、分厚そうなその甲殻は、あたしの攻撃じゃどうにもならないことを、悟らせてしまった。
逃げようと走り回るも、ガードアントの方が足が速くて、
「に、2体目!?」
さらにもう一匹が、騒ぎを聞きつけたのか、あたしを追いかけ回し始めた。
人間の、それもレベルがたったの5しかないあたしじゃ、逃げ切れるわけがなくて。
「あうっ!?」
足がもつれて前のめりにこけてしまった。
ああ、怖い怖い怖い! 足音で分かる、もうすぐそこまでガードアントが追いかけてきている!
(父様、姉様、ごめんなさい…………あたし、命の無駄遣いしちゃった。母様のところへ、一足先に…………)
音も聞こえず、次回も白く染まり、あたしはどこか諦めながら、その時を待っていた。
…………でも、覚悟した死は、訪れなかった。
恐る恐る前を見る。
すると、姉様ぐらいの歳の男の人が、腕をガードアントに突き刺していた。
ガードアントのHPバーは、全て真っ白になっていて…………それは、ガードアントが倒されたということを示していた。
「ふぅ…………えっと、無事かな?」
そう言って、ちょっと戸惑うように振り返る、男の人。
その姿が、あまりにもカッコよくて…………。
(ゆ、勇者さまみたい…………)
あたしにも、女の子らしい部分があったんだ。
あたしの前に颯爽と現れたその勇者さまに、一目惚れしてしまった。
[σ^_^;]
そんな、運命的な出会いをした翌日。今日はあたしを助けてくれたユーゴさんと、意識が朦朧としていたせいでちゃんと思い出せないんだけど、2体目の方のガードアントを倒してくれた、魔法使いなんだけど、全然魔法使いらしくないショウさんと一緒に、クイーンアント達を倒しに行くのだ!
そのことに浮き足立って、思わず早起きなんてしちゃって、昨日のユーゴさんやショウさんの動きを思い出しながら、自分の剣で素振りなんかしちゃったり。
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