ハーメルン
やはり俺の青春にウルトラマンがいるのはまちがっている
比企谷八幡はその教師と出会う

side八幡

灰色の日常を、一瞬にして紅蓮の炎と暖かな光に変えた衝撃のファースト・コンタクトから一週間ほど時間が経ち、俺はその色を変えた生活に順応しつつあった。

あの日俺の前に現れた怪獣と言う空想上の存在と、後に光の巨人と呼ばれる存在の事をメディアは連日連夜取り上げ、敵か味方か、はたまた幻覚かと言わんばかりに騒ぎ立てている。

だが、あの日以来、この一週間ではあのベムラーと呼ばれる怪獣以外の存在は確認できず、俺もあの一日が本当に現実に起こった事なのか、曖昧になりつつあった。

「けどまぁ・・・、現実、なんだよなぁ・・・。」

そんな事を思いながらも、俺は窓際の席から教室内を見渡す。
終わりのSHRにも関わらず、二席ほど空席になっている事が分かる。

そう、あのベムラーが破壊した瓦礫の下敷きになって死んだ生徒がいたという事だ。
あの怪獣が現れたのが総武高校の通学路付近であったため、多くの生徒が巻き込まれ、数名の死者も出ているとの事だ。

そう考えると、俺もギンガが来てくれなければ、間違いなくその内の一人になっていたんだよな・・・。

誰が死んだかなんて一切分からなかった、寧ろ、このクラスの人間の顔と名前なんて今だに覚えていないまである。
いや、自慢にならんね。

「それでは、今日はこれで終了とする、気を付けて帰宅するように。」

担任である教師、平塚静の号令と共に全員が返事を返し、それぞれが帰路に就くべく動き出していた。
空気を読む事に長けている俺も、さっさと片付けを済ませて誰にも気取られずに席を立ち、そそくさと教室を出て下駄箱に向かおうとした。

「おっと、比企谷~、少し私に付いて来てもらおうか?」

なん・・・だと・・・?お、俺のステルスが通用しないっ・・・!?
この女っ、只者じゃない・・・!!

「何すか・・・、俺、あれがこれなんで急いで帰りたいんですよね。」

普段から腐ってる目を更に腐らせて、努めて気怠げに返事を返す。
これで帰れない訳なんて・・・。

「君に約束する相手がいるのかね?」

くっ・・・!俺の事を見透かしてやがるぅっ・・・!!

「悪い様にはせん、少し、授業内作文についての話だ、君の話を聞きたいんだ。」

あぁ・・・、あの作文ね・・・。
別に他意は無いし、説明する程でもないんだよなぁ・・・。

さてどうしたものか・・・、そんな事を考えていた時だった。

「あぁ、平塚先生、比企谷君はホントに今から用事有りますよ、俺が頼んだんです。」

「ん?」

廊下の角から現れた一人の男性教員が、俺達に話しかけてくる。

癖のある艶やかな黒髪にツリ眼ながらも整った目鼻立ち、まさにイケメンと形容すべき存在が俺達の目の前にはあった。
というより、こんな人、この学校にいたか・・・?

いや、それよりも、この人、何処かで・・・?

「貴方は・・・、確か・・・。」

「先週、怪獣災害に遭って療養中の里中先生に代わって数学を教えています、織斑です、よろしくお願いしますよ、平塚先生?」

「あぁ・・・、よろしく・・・。」

ありありと不満げな表情を浮かべる平塚先生とは対照的に、織斑と名乗った男性教諭は飄々とした感じで挨拶をしていた。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/6

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析