五話:魔女狩りの王
「お、おおあっ!?!?」
前略。
炎と重油で構成された巨人――――魔女狩りの王から逃げ出す為、上条はマンションの二階から決死の大ジャンプを試みた。
マンション二階からの跳躍――怪我をするレベルではないが、気楽に飛び降りられる範囲でもない。これまで何度となく修羅場をくぐってきた上条だからこそ選び取れた選択だっただろう。
だが…………上条は『不幸』だ。
彼の落下する先は、自転車置き場だった。
「ひっ、わああァァァああああああああああああああ!?」
何とかバランスをとって自転車と自転車の間に降り立とうとしたが、不幸に愛された男上条当麻にそんな幸運が許されるはずもなかった。辛うじて自転車の座席に飛び降りた上条は、そのまま吹っ飛んでマンション前の路上に飛び出してしまう。
「………………っ!!」
しかし、それでも勢いは止まらない。
咄嗟に両腕で受け身を取ろうとするが、このままでは間違いなく車道に飛び出すコースに、
「きゃあああ!?」
少女のものらしい、甲高い悲鳴が響いた。
その瞬間、上条は空中で誰かに衝突し、その勢いを止める。
自然とその少女を路上で押し倒すような形になってしまった上条は、不意に柔らかいものに顔をうずめている自分を自覚した。
…………それから、マズイ、と思う。
「………………あの。何をしていらっしゃるのか…………しら……?」
この柔らかいのは、女の人のお胸だ。
***
第一章 予定調和なんて知らない Theory_is_broken.
五話:魔女狩りの王 Magician.
***
実験の結果、やはり白黒鋸刃は流体にも影響を及ぼせるようになったことが分かった。
詳しい原理については――――説明すると長くなるので省くが、掻い摘んで説明すると能力の干渉力(?)が上がったことによってより小さな分子にも干渉できるようになった、ということになる。
ちなみに、『能力』を維持している間は流体であろうと『亀裂』の範囲には流れ込めなくなっているらしい。何でも、『亀裂』の中には『二つの物体を分かつ力場』が展開されているんだとか。瀬見さん曰く『応用すれば、ある種の気流操作も行えるようになるかもしれないわ』とのこと。
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