チーム結成
──それは突然の出来事だった。
地面を突き破り、飛び出た触手がブレイカーⅢとアザレアへと向かっていく。
突然の出来事ではあったが、素早く対応した一矢とミサは回避する。
何事だ?
そう思った二人に答えるように触手を放ったであろう機体が地面を破って現れる。
「この間はよくもやってくれたなぁっ!」
「タイガーっ!?」
まるで怪物の姿をしたようなガンダム……デビルガンダムが現れたのだ。
そしてそれに乗るのは先程、夕香にぶつかったタイガーだった。ミサは突然のタイガーの乱入に困惑する。
「……負けた仕返し?」
「負けてねぇっ! あれはコイツがいきなり割り込んできたからだッ!!」
一矢は乱入してきたタイガーの言葉から自分に負けたことを根に持って、このような事をしたのかと問いかけると、タイガーはデビルガンダムを操作し、アザレアを指さしながら叫ぶ。ミサの介入があったからこそ自分は負けた、そう思っているのだろう。
「だから今度こそちゃんと仕留めてやるよ、お前ら纏めてなぁっ!!」
このガンプラならば負けはしない。
背面から伸びたデビルフィンガーが二機に襲い掛かるがすぐさま再び回避される。
「……チッ」
突然の乱入に一矢は露骨に苛立ちを見せる。
口には出さないもののバトルを邪魔されたのは不愉快以外の何物でもなかったからだ。
しかし気を抜いていられない。
デビルフィンガーの先端から発射される拡散粒子弾が襲い掛かる。
「きゃぁあっ!!?」
「……っ!?」
ミサの悲鳴に似た声が聞こえる。拡散粒子弾自体はタイガーの腕もあって特に避けることは難しくはなかったが、周囲の大きな建造物に直撃して、その結果、破片となってブレイカーⅢとアザレアに降り注いだ、
正面から放たれる拡散粒子弾と上方から降り注ぐ破片に避けることが間に合わず飲み込まれてしまう。
「俺はコイツで如月翔を追い詰めたんだよ! お前らなんかに……ッ!!」
タイガーは建造物の破片に飲まれ、身動きの取れない二機を見て満足そうな笑みを浮かべ、かつての出来事を自慢する。
彼の言葉は間違ってはいない。
GWF2024……その会場で彼は如月翔とガンプラバトルを行った。とはいえ様子のおかしかった如月翔にその後、蹂躙されてしまったが。
下半身のガンダムヘッドを展開したデビルガンダムはメガビームキャノンの発射準備をする。このままではやられるのを待つだけだ。こんな敗北の仕方など絶対に嫌だ。
「……こんな負け方、絶対にやだ……ッ!!」
しかし今から瓦礫から抜け出すには時間がない。どうするべきか迫る時間の中、一矢が思考を巡らせているとミサの声が聞こえる。
見ればミサは無我夢中に瓦礫を退かそうとしていたのだ。考えるよりもこんな形で負けたくはない、その一心で行動しているのだ。
「……ッ」
そんなミサに触発されたかのようにブレイカーⅢは動く。
完全には抜け出せなかったもののGNソードⅢを持つ腕は自由になった。これだけでも一矢にとって十分だった。
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