第11話
GXで先行するガロードは接近するモビルスーツを目視する。
白い装甲、オプションパーツがなくとも飛行できるモビルスーツ。
それは15年前の戦争でも使われた機体『ベルティゴ』。
コクピットに搭乗するのは、フォートセバーン自警隊隊長であるカリス・ノーティラス。
「アイツが本命か? これ以上フリーデンはやらせない!!」
「バルチャーめ、フォートセバーンに土足で踏み入れるなどと。だがそれよりも、僕以外のニュータイプが来ている。この感覚……サイキックインプレッション?」
脳に伝わる感覚、自らと同じニュータイプ能力が近くに居る事を直感で理解する。
けれども今は目前に迫るバルチャーとガンダムの相手をする方が先だ。
「まぁ良い、いずれわかる事。前から来るのはガンダムタイプか? 15年前に製造された機体」
「行くぜ!!」
「このパイロットは……違う……」
ビームサーベルを引き抜くGXは加速を掛け握る右腕を振り下ろす。
対するベルティゴもマニピュレーターにグリップを握り互いのビームが交わる。
激しい閃光が両者を照らす。
「まだまだァァァ!!」
袈裟斬り、袈裟斬り、横一閃。
だがベルティゴは全てを簡単に防いでしまう。
その機体の動きにガロードは舌を巻く。
「コイツ、強いぞ。けど!!」
(わかる……感じる……近くに居る。パイロットか、それともあの戦艦か?)
戦闘を行いながらもニュータイプの存在を感じ取るカリス。
GXは再び接近戦を仕掛けようとするが、機体に搭載されたビットがそれを許さない。
後方から細いビームが襲い掛かり白い装甲にダメージを与える。
「どこから来た!? モビルスーツの反応はないのに!! 俺の知らない武器か?」
(あのパイロットでは僕には勝てない。さぁ、来ているなら僕の存在を感じ取ってみろ!!)
(――めて。やめて!!)
(女の声……名前はティファ、ティファ・アディール!!)
「このォォォッ!!」
ビームサーベルで斬り掛かるGXだが、ベルティゴはスラスターを吹かし簡単に避けてしまう。
切っ先は雪に触れ、一瞬の内に水分が蒸発して視界が白い闇に覆われる。
ベルティゴが見えなくなったと思った時には、次は横からビームが襲う。
「ぐぅっ!! 次は横だと!? この野郎!!」
トリガーを引くガロードはインテーク真下のブレストバルカンで一斉に銃弾を浴びせる。
けれどもその方向にモビルスーツの反応はないし、発射される弾丸も空に消えるだけ。
次の瞬間にはまた背後からビームが直撃した。
「グッ!! 今度はまた後ろか。なんだ!?」
空中に浮遊する物体がわずかに見えた。
漏斗形のソレは小型のバーニアも組み込まれており、重力のある地上でも自由に飛び回れる。
ガロードに見つかったのを感じ取ったかのように次の時には移動を開始した。
ベルティゴの前面に展開するソレは一斉に銃口をGXに向ける。
「今まで死角から攻撃して来たのはあの武器か」
(ティファ・アディール、GXのパイロットでは僕には勝てない。僕と一緒に来るんだ。そうすればこのガンダムも艦も見逃すと約束しよう)
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