第5話
翌朝、ティファの容態が急変した。
数日安静にして居れば意識は回復する筈が、強力な毒により生死の境をさまよって居る。
テックスはすぐに病状を調べるが、解毒剤もなくフリーデンの設備でも治療は出来ない。
駆け付けたジャミルとアムロは彼女の表情を覗くが、依然として目を覚ます様子はなかった。
「テクス、コレは……」
「あぁ、首筋に針で刺した様な穴がある。何の毒かまではわからんが、このままでは1週間と保たない」
「内部犯……だが、何の為に……」
考えるジャミルだが、時は一刻を争う。
誰がやったのかも重要だが、彼女をどう救うのかも見付けなければならない。
その隣でアムロもティファを見て居ると、微かにだが感じるモノがあった。
「あの男なのか?」
「わかるのか? アムロ」
「あぁ、だとすれば奴は動くぞ。ジャミル、俺はモビルスーツデッキに行く。ティファを治療出来る施設は近辺にないのか?」
「あるにはある。だが、危険な賭けになる。ティファを救出したアルタネイティブ社の研究ラボ。あそこなら治療出来る筈だ」
「良し、ならそこに行くしかない」
即決するアムロ。
それは相手の戦力、情報を知らないからでもある。
対照にその事を知って居るジャミルは二の足を踏んでしまう。
「だが警備は厳重だ。それに前とは違って制圧する必要がある。ガンダムがあるとは言え……」
「あれだけの戦闘力を持った機体だ。それに相手の殆どは量産機、4機掛かりなら行ける」
言うとアムロは病室の扉を開けた。
瞬間、違和感を感じ、通路に出た先には話を盗み聞きして居たガロードの姿。
「ガロード……」
「マジィ、クソッ!!」
他のクルーには見付からないように逃げ出そうとしたガロードだが、アムロは上着を掴み動きを止める。
そして近くまで引き寄せ、真剣な眼差しでガロードを見た。
「さっきまでの話は聞いてたな?」
「ティファが死んじまうかもしれないんだろ?」
「そうだ、時間がない。ガロード、ティファが居る限りフリーデンから逃げない、昨日そう言ったな?」
「あぁ、言ったさ!!」
「だったら――」
黒いジャケットのポケットに手を入れるアムロ。
取り出したのはGXのコントロールユニット。
第5話 GXにはお前が乗れ
コントロールユニットを受け取るガロード。
けれども以前のアムロの戦いを見ており、自身がGXに乗る事に戸惑いを覚えた。
「俺があの機体に……でも俺は……」
「俺には俺の機体がある。良いか、ガロード。ティファを守りたい気持ちが力になる筈だ。後は俺がフォローする」
「俺に出来るのか? アムロみたいに……」
「それは違うぞ。ガロードの感覚で動けば良い。そうすればガンダムが応えてくれる」
「ガンダムが応えてくれる?」
「そうだ」
言うとアムロはガロードの肩を叩き、モビルスーツデッキに向かって走った。
コントロールユニットを握り締めるガロードは、医務室の開かれた扉からちらりとティファを覗き、思考を切り替えて全力で走った。
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