第8話
フリーデンに帰還するアムロ。
ドートレスの整備はキッドに任せ、皆が揃うブリッジへ向かう。
ガロードが乗るGXが奪われた事で戦闘力は著しく下がり、なんとしても取り戻す必要がある。
シートに座るジャミルはこれからの事に付いて話す。
「これは私のミスだ。ガロードを引き止める事ができなかった」
「それはわかるが……どうする、キャプテン? ドートレス1機であれだけの数を相手にするのは俺でも無理だぞ」
「わかっている。サラ、バルチャーサインを出してくれ。ロアビィを呼ぶ」
「ロアビィだけですか? エアマスターのウィッツは?」
「1人で良い。そこまで資金に余裕がない」
「了解です。すぐに呼び出します」
「頼む」
サラは指示に従ってパネルを叩き、フリーデンから照明弾を打ち出す。
今後の方針は取り敢えず決定したが、アムロにはまだジャミルに聞く事がある。
「奴らをどう攻略する? ガンダムを合わせても2機、相手の練度を見ても絶対とは言い切れない」
「いいや、3機だ。私が出る。キッドには鹵獲したドートレスのメンテを頼んである」
「行けるのか!? コクピットの恐怖心はどうした?」
「治ってない。考えただけでも体が震えて来る。だが、フリーデンの艦長は私だ。責任は私が取る」
そう宣言するジャミルに反論できるモノは居なかった。
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「ッハ!! 負けたのか……ここはどこだ?」
埃臭いベッドの上で目を覚ますガロード。
周囲を見渡すと、ベッドと同じように埃まみれの木製の壁。
物置部屋のように狭い部屋の中で眠らされて居た。
警戒しながら眠っていたベッドから立ち上がり外に出ようとするが、それよりも早くに扉が開かれる。
入って来たのは目付きの鋭い赤い髪の女。
「おや? 起きたのかい?」
「お前……俺達を襲ったバルチャーだな?」
「そうだよ。アタシはエニル・エル。アンタのガンダムと戦ったドートレスのパイロットさ」
「どうして俺を殺さない? 逃げ出してガンダムを奪い返すぞ」
「ふふふっ、そう警戒するな。それよりも名前は何て言うんだい?」
「なまえ?」
「言っただろ、アタシはエニル・エル。アンタの名前さ」
攻撃して来る様子はない。
それでもガロードはいつでも反撃できるように気構えながら、鋭い視線でエニルを睨み付ける。
「ガロード・ラン」
「ガロードか……覚えたよ」
「なんのつもりだ? ガンダムは手に入れたんだから、俺なんて殺す筈だろ」
「だから、そう警戒するな。アンタ、見どころがあるからさ。どうだい、手を組まないか?」
「お前と手を組む?」
「アタシは今、ザコットって奴と組んでるんだけどさ。コイツが金の払いが悪くてね。ガンダムだってアタシのお陰で捕獲できたのに、分前はアイツの方が多いと来たもんだ」
そこまで言ってエニルは笑い声を上げた。
以前として警戒するガロードだが、彼女は流暢に話し続ける。
「アハハッ、悪かったよ。アンタを倒したりして。こっから逃げたいだろ? グズグズしてるとザコットに見つかる。付いて来て」
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