14.大人だって、切れる事はある。
(いや、ボクを見ていたのはこの剣の方...!?)
驚愕に眼を見開いたヒソカと、幻想虎徹の視線が交錯した刹那の時間の後。
ヒソカは腹部と頭部に強烈な衝撃を感じ、碌に受け身も取れないまま地下道を通っている鋼のパイプに半ばめり込むようにして叩き付けられた。
衝撃で千切れ、彼方へ飛んで行く自らの右腕を視界の端に映しながら、ヒソカはクリードの姿を探す。
モノクロの視界の中、浴びた血液を手で拭いながら憐れむ様に此方を見るクリードの姿、そして目に留めていた青い果実の一つである黒髪の少年の姿を見つけ、満足したのかヒソカは意識を失った。
(あのコ、頭に貰った一撃、は彼が放ったのかな? 素晴らしい一撃だ、気配の、消し方も、見事だった。 …ああ、それにしても…クリード、キミは最高だったんだね…! 次……は必ず、キミを食べ…….!)
奇術師が完全に気を失った事を確認したクリードは、遅れて来た少年を連れて去って行く。
(アンタを殺すのは簡単だが、殺しはしない。 この場は利き腕を捥ぐだけにしておく。
…ままならない身体で精々無様に足掻いて、苦しむが良いさ)
二人の姿が見えなくなって暫し時間が経ってから。
ギタラクル、もといイルミが排水管の陰から姿を現した。満足そうに気絶しているヒソカを一瞥し、カタカタと針を揺らしながら大きく溜息を吐く。
「またこっ酷くやられたなヒソカ。 あんな奴に構うのは止めておいた方が良いって俺、言ったじゃん。 …人が親切に忠告してあげたのに無視するからそうなるんだよ」
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