ハーメルン
沈黙は金では無い。 
24. 長い夜、短い生。(上)


【Ⅵ-1】


 人間なら誰しもがその身に宿している生体オーラを操る技術、念能力。 
 それを大まかに分類すると六つの系統が存在していて、俺はその内の一つ、操作系に属している。
 操作系はその名称の通り、物体や自分――つまり、何かを操作する事に長けている系統だ。例え肉体的資質や発するオーラの多寡で劣っていようとも、定めた発動条件を満たせさえすれば、そんなモノは些末な問題へと変わる。 

「きゃあっ!?」

 短い悲鳴と共に草むらに倒れ込む女。…成程、腐っても流石にクリードに師事しているというだけの事は有るか。コンマの判断でとっさに身体を捻り、割と真面目に殺す気で放った急所への一撃を避けていた。 
 まあ、例え死点を避けようと意味は無いのだけれども。定めた()()()()が放った針が刺さる。それが俺の能力の発動条件で、一切の例外も特例も存在しない。
 意識を失い昏倒した女の脳を掌握する為、掌に刺さった針へ向けて思念波を送る。 

(思ったよりは身体能力が高い事も分かったし、とりあえずは標的を誘き出す囮人形にでもなってもらうかな。首尾良く三点分の標的のプレート、もしくは二点分のハズレプレートをGet出来たら、この女のプレートを頂いて四次試験は無事に終了だ。 殺すのはその後でも事足りる。 最悪の場合、クリードの前に連れて行ってプレートと交換と云う手も有るしね)

 そんな、有り触れたつまらない事をつらつらと考えていた時だった。 …二つ、想定外の事態が発生した事に気付く。

 想定外の一つ目、確かに()()()()()()()()()()筈なのに彼女を操作出来ない。

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