ハーメルン
魔法世界興国物語~白き髪のアリア~
第14話「宣戦布告、拒否」

Side テオドラ

10月10日の早朝、大規模転移を繰り返した我が軍は、帝都ヘラスを遠望できる場所にまで到達した。
国境の軍を掌握し、各地からクーデターに反対する義勇兵を合流させながら進んだ我が軍は、すでに陸軍6万、艦艇200隻を超える勢力になっておる。


ただ、逆に集まりすぎた。
だから帝都ヘラスまで指呼の距離にありながら、部隊再編のために進軍を一時停止しておる。


「帝都の連中、やけに静かだな」
「まぁの、相手にしてみれば、まさかここまで我が軍が膨れ上がるとは思わなかったのじゃろう」


ジャックの言葉に、妾はそう応じた。
それだけ、父は民に慕われておったと言うことじゃろうの。
父の死で、帝国貴族の大半は妾を支持するようにもなった。
とはいえ、今まで外敵の侵入を許したことが無い歴史ある我が帝都を、妾が攻撃することになろうとはの。


「じゃが・・・我らとしても頭痛の種がある」
「あー、あいつかー、昔喧嘩したなー」


ジャックは呑気に言っておるが、そんなテンションで言って良いことでは無い。
帝都には、帝都守護聖獣がおる。
ジャックがその内の一体、古龍(エインシェイント・ドラゴン)龍樹(ヴルクショ・ナーガシャ)と引き分けたと言う話は妾も聞いた。


こやつのことじゃ、おそらくは本当じゃろう。
じゃが、今回はそれが複数おるのじゃ。
ちなみに、聖獣はそれぞれがあの最強種、真祖の吸血鬼と同格の力を持っておる。
極端な話、このまま攻め込めば我が軍は全滅する。


「ほぉ~、そらまた大変だな」
「他人事か貴様」
「報酬さえ貰えりゃな、あーでも、お前いないと貰えねぇからな」


ガシガシと頭を掻きながら、ジャックは言った。


「お前だけは守ってやるよ、じゃじゃ馬姫」
「・・・ふん、じゃがなジャック、帝都守護聖獣を脅威としない方法は、無くも無いのじゃ」


心持ち笑みを浮かべながら、妾は言った。
帝都守護聖獣が膝を屈する相手は、この世界に一人しかいない。


「帝都守護聖獣は、ヘラス帝国皇帝にのみ膝を屈する」


父の死後、新たな皇帝は立てられていない。
姉上達が帝都に軟禁されておるものの、どちらも帝位を宣言してはいない。
故に、空位のままじゃ。


「皇帝であれば、聖獣を御することができる」
「ふーん、ま、頑張んな」
「本当に他人事じゃな・・・」


簡単に言うが、聖獣に帝位を認めさせるのは、容易なことでは無いぞ?
まぁ・・・他に方法が無いことも確かじゃが。


「殿下、部隊の再編が終了致しました」
「・・・わかりました。では全軍に命令します」


さて・・・今頃は新オスティアの方も戦端が開かれておるやもしれぬ。
急ぎクーデターを鎮圧し、軍を返さねばならん。
そのためにも・・・。


「全軍に通達、<我に続け>。インペリアルシップを前面に押し立てて進みなさい。これは皇女としてではなく、ヘラス帝国皇帝テオドラとしての命令です!」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/21

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析