ハーメルン
魔法世界興国物語~白き髪のアリア~
第3話「100キロ箒レース、そして」

Side クルト

「・・・何ですって?」


従卒からもたらされたその報告に、私は思わず、そう声を漏らしました。
眼鏡を外し・・・もう一度かけ直してから、目の前で姿勢良く立つ従卒に視線を戻して。


「はは・・・いや、すみません。どうも最近疲れているようで」
「はぁ」
「もう一度、聞きましょう・・・何ですって?」
「アリア・スプリングフィールドが、アリアドネーから姿を消しました」
「何ですって!?」


ズダンッ・・・と机を叩き、立ち上がる私。
その拍子に、机から何枚かのカード―――アリア様達へのオスティア祭への招待状―――が落ちました。
しかし、そんなことに構ってはいられません。


アリア様が、アリアドネーから姿を消した?
何故、あの環境なら何もご不満な点などあるはずも無いでしょうに・・・はっ。
よもや、ネカネ嬢の居場所を知りながらお伝えしていないのが知られた・・・?
いや、偽ナギの件が伝わったのかも・・・しかし旧ウェスペルタティア領に入ってでもくれない限り、下手なことはできませんし・・・。
それとも、アレか、いやもしかしたらあの件やも・・・。


「どうも、拐かされたようです」
「何ですってっ!?」


拐か・・・誘拐!
だが、いったい何者が・・・そもそも、アリア様が遅れを取るなど。
と言うか、あの吸血鬼共は何やっていたんですか。
ち、思ったより役に立たない・・・。


「元老院か!?」
「いえ、それがどうも違うようで」
「・・・」
「オストラ伯クリストフ」
「あのご老体か・・・」


旧ウェスペルタティア崩壊後、東部一帯の領地を糾合し、今日までもたせてきた老人。
アリカ様とも近しかった存在で、オスティア難民の領地内受け入れでも、かなりお力添えを頂きました。
政治的には穏健派に属するはずですが、それが何故このような・・・。


「その件について、騎士ジョリィから報告が入っております」
「ジョリィから・・・?」


従卒が手渡してきた書類に、素早く目を通します。
そこには、今回の件に関する一部始終が記載されていました。
・・・ふむ。


「・・・詳しい報告を、聞きましょう」
「は、ではまず、当時のアリアドネーの状況から・・・」


執務室の椅子に座り直し、私は従卒が続ける報告に耳を傾ける体勢をとりました。
さて、今回の件がどう繋がるか。


それによって、魔法世界の歴史が変わるやもしれませんね。





Side エミリィ

オスティア記念祭警備任務・選抜試験3年生会場。
参加すると思われる生徒を一通り見てみましたが、ビーを除けば私に勝てる者はいませんね。
ビーは、私の侍従であると同時に幼友達でもあります。
とても、優秀なのですよ?


「フ・・・この面子なら楽勝ですね」


これでオスティア行きが決まれば、私が生ナギ様に会える。
そして運命的な出会いを果たした私は・・・あふぅ。


「とりあえず、お嬢様の考えているようなことにはならないかと・・・」

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