ハーメルン
このすば*Elona
第121話 天下御免で絶対無敵のスーパーヒロイン(非合法)

 ちょうどあなたの口に含まれていたオレンジジュースが、盛大に噴き出されたことで瞬時に霧と化す。
 霧となったオレンジジュースは夏の強い日差しを反射することでキラキラと輝き、あなたの足元に小さな虹を生み出した。

 世の絵描き達がこぞって筆を取らずにはいられない、幻想的で感動的な光景をいとも容易く生み出したあなただが、はっきりいってそれどころではない。
 ゆんゆんだ。
 格好こそ席を立つ前から大きく変わっているものの、間違いなくあの真っ赤なバケツを被っているのはゆんゆんだ。
 人は誰しも己の常識を遥かに超える事態に直面すると思考を停止させてしまう。あなたにとってはまさに今がその瞬間である。
 津々浦々を巡り多種多様な経験を積んできたあなたは大抵のことに動じないだけの胆力を有しているが、いくらなんでもこれは反則としかいいようがない。
 何がどうしてこうなった。
 果てしない驚愕と感動と後悔があなたを同時に襲う。

 まさかあのゆんゆんがこんな大胆すぎる行動を、という驚愕。
 自分の知らない間にここまでの成長を遂げていたとは、という感動。
 そして、何故自分はあの場に立っていないのか。あの時トイレに行くと言ったゆんゆんについていっていればよかった、という後悔。

 つまるところ滅茶苦茶楽しそうなのであなたも二人に混ざりたかったのだ。

 だがすぐにそれはダメだと思い直す。
 たとえそれがどれだけ傍から見ていて楽しそうで羨ましいと感じたとしても。
 ノリノリで楽しんでいるティーンエイジャーの少女達に大人の男が自分から混ざっていくなど、空気が読めていないなどという言葉では到底片付けられない。外野から石もて追われても文句は言えない所業だ。
 混ざるのであれば性転換して若返る必要がある。
 しかし性転換する上で必要不可欠な願いの杖が音が鳴るだけの産廃になっているので、今のあなたではどうにもならない。
 ウィズに頼めばどこからともなく性転換の道具を仕入れてきてくれるのかもしれないが、副作用が恐ろしすぎるので却下。

 そもそもあなたがこの件について何も聞かされていないということは、ゆんゆんがあなたに秘密にしておきたかったということだ。
 普通にゆんゆんが恥ずかしがったのか、あなたが出張れば何もかも台無しにされてしまうと考えたのかは定かではないが、除け者にされた寂しさをぐっと堪えてあなたは今回はゆんゆんの意向を汲んであげることにした。







 ──エチゴノチリメンドンヤチーム、初戦から大胆なパフォーマンスで物の見事に会場中の度肝を抜いていく! しかしご安心ください、かくいう解説席の我々も唖然とさせられました! そして対する海鳥の歌チームも動揺を隠しきれていない様子!!
 ──彼らは結構場数を踏んだやり手のはずなんですけどね。しかし無理もありません。貰い事故もいいところですよこんなの。狙ってやっているのであれば大したものです。
 ──なるほど、一見すると奇怪極まりない一連の行動を、ジョージさんはエチゴノチリメンドンヤチームの作戦であると考えているのですね?
 ──むしろそうであってほしいと願います。

 両チーム……エチゴノチリメンドンヤは最初から舞台に上がっているので、海鳥の歌チームが舞台に上がる。
 海鳥の歌のメンバーは二十台前半の男女がそれぞれ二名。

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