ハーメルン
このすば*Elona
第121話 天下御免で絶対無敵のスーパーヒロイン(非合法)

 剣士とナイトが男、僧侶と魔法使いが女という構成になっている。

 ──海鳥の歌チームは最近頭角を現している実力派の冒険者パーティー。その平均レベルは23。主にトリフを拠点として活動しているので、見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
 ──エチゴノチリメンドンヤチームは本人達の希望により本名、出身、経歴全ての項目が非公開となっています。怪しんでくださいと自分から言っているようなものですが、規則上、登録には冒険者カードのような身分証が必要になります。身元が明らかになっていない者は大会に参加することが出来ないのです。
 ──つまり大会運営はちゃんと彼女達の素性を把握している、というわけですね?
 ──はい。そういうことです。

 解説はああ言っているが、運営は間違いなく二人の正体に気付いていない。
 何せ彼女たちはベルゼルグ第一王女と紅魔族次期族長。
 あらゆる意味で非合法かつレギュレーション違反としか言いようがない。

 そんなインチキコンビが使っている武器だが、これはトリフで売っている安価な市販品……ではなく、どちらもベルゼルグ王都の高級武具店で売っていそうな一級品、つまりガチンコ仕様である。
 露骨に勝ちに来ている。実に大人気ない。酷い話もあったものだ。

 王女アイリスがその手に持っている武器はアダマンタイト製の片手剣。
 かなりの業物だが、流石に王都防衛戦で使っていた神器、聖剣エクスカリバーには大きく劣る。
 しかしエクスカリバーはベルゼルグの国宝として見た目が広く知られているので、こんな場所で振り回そうものなら一瞬で大問題に発展する。使用を禁じるのは当然だろう。

 神器はお目にかかれないが、あなたにとっては期せずして降って湧いた、ベルゼルグ王族の戦いを見る初めての機会である。
 魔王軍幹部として長きに渡り最前線で戦い続けたベルディアは、ベルゼルグの王族に対してあなたにこういう言葉を残している。

 ──あいつらはそこらへんのニホンジンが束になっても勝てないくらい強いぞ。俺は過去に何人か殺したことがあるんだが、基本的に罠や謀略で孤立したところを精鋭で袋叩きにする必要があったな。王族が常に最前線で戦いながら指揮を執るなどあらゆる意味で論外で常識外だが、そうでもしなければ今頃とっくに世界は魔王軍の手に落ちているだろう。ちなみに今の俺ならタイマンで普通に勝てる。終末狩りは最高だな……とでも言うと思ったかバカめ! あんな鬼畜の所業を俺にやらせるご主人はほんとバカ! だが最初に終末狩りを考えた奴はもっとバカだ!!

 強い力を持つ勇者を代々取り込み、素養を引き継ぐという形で血の研磨を続けてきたベルゼルグ王家。
 その最先端、まだまだ幼く未熟な王女アイリスの現時点の実力は果たしてどれほどのものなのか。
 相手の虐殺は半ば確定した未来だが、それでも非常に興味深い一戦と言えるだろう。

 一方のゆんゆん。
 彼女もまた普段使いしているものではなく、マナタイト製の長杖を持たされていた。普段は短杖を使っているので中々新鮮な光景である。
 めぐみんやウィズ、レインや女神アクアがそうしているように、魔法を扱う後衛職は長杖をメインの武器として扱うというのが一般的だ。
 素材使用量は多ければ多いほど魔法を補助する上で有利になるというのもあるし、長物は近接戦闘時にリーチの面で強い。足場の悪いところでも三本目の足として役に立つ。

[9]前 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:2/9

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析