ハーメルン
このすば*Elona
第122話 おてんば姫たちのお茶目で可愛い悪巧み

「合法的とはいったい……」
「ゆんゆん、法を作るのは我々貴族ですわよ」

 威風堂々とした振る舞いとは裏腹に、発言の内容は完全に悪徳貴族丸出しだった。
 遠い目になるゆんゆんに、王女アイリスが真剣な表情で口を開く。

「今日はゆんゆんにお願いがあって、こうしてお邪魔しました」

 友人にして王女である相手からの懇願である。
 ただでさえ人のいいゆんゆんに、断るという選択肢は最初から存在しない。

「ええと、私に出来ることなら……」
「私と一緒に明日から始まる闘技大会の団体戦に出場してくれませんか?」
「なにゆえ!?」

 魂の奥底から生じた切実な疑問は、ツッコミじみた叫びという形で飛び出した。

「実は私、以前からカルラと秘密の約束をしていたのです。今年の闘技大会に一緒に出ようと」
「なにゆえ!?」
「それは勿論、カルラと私がお友達で、お互いに闘技大会で楽しく遊んだという思い出を作りたかったからです! 大会の為に剣のお稽古もいっぱい頑張りました!」

 おてんば王女アイリスの元気いっぱいな溌剌とした回答。
 頼むからお茶目な冗談であってほしいと一縷の望みに縋るゆんゆんは、思わずリーゼロッテに救いを求めるような目を向ける。

「アイリス様のお言葉の通りですわ」

 そんなゆんゆんの内心を知ってか知らずか、にっこりと微笑んで頷く老淑女。
 現実は非情である。

「でもカルラさんは……」
「はい。残念ながらカルラは竜の谷で大怪我をしてしまい、今年の大会に出ることは出来なくなってしまいました」
「なので、その代わりを私に?」

 数時間前の交流を通じて、つい最近、王女アイリスのもとにカルラから手紙が届いた事、手紙にはあなたとゆんゆんのことが書かれていた事、ゆんゆんは自分のような王族が相手でも友達になってくれるとても優しい女の子なので、きっと王女アイリスとも仲良くしてくれると書かれていた事をゆんゆんは聞かされている。
 ゆんゆんが実際に話をした王女アイリスはとても良い子だったし、カルラがそうであるように、これから先も仲良く付き合っていけると思っている。
 だからこその問いかけだったのだが、王女アイリスは代わりだなんてとんでもないと首を勢いよく横に振った。

「ゆんゆんは私の新しい大切なお友達です。こうして迷惑を承知で頼みに来たのは、カルラと同じように、ゆんゆんと闘技大会で楽しく遊んだという思い出を作りたいと私が思ったからです」
「お友達……大切なお友達……大切なお友達と思い出作り……」

 初雪のように純粋で無垢な王女から放たれる、健気で悪意の無い言葉。
 それは耳を通してゆんゆんの全身へと駆け巡り、麻薬のような多幸感を引き起こす。
 にへら、とだらしのない笑みを浮かべるゆんゆん。
 実際のところ、彼女の交友関係そのものはあなたと知り合ってからかなり改善されており、あなたやウィズなどより普通に多くの友人がいるのだが、それでも効果は抜群だった。

「わ……わっかりました! 私に任せてくださいアイリス様! みんなに私達の友情パワーを見せ付けてあげましょう! 私達の! 友情パワーを!!」
「ゆんゆん……ありがとうございます! 二人で優勝目指して頑張りましょう!」

 ゲロ甘でチョロQとあなたから評される紅魔族の少女は一瞬で陥落した。

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