ハーメルン
このすば*Elona
第123話 たったひとつの冴えたやりかた。あるいは促成栽培という名のデスマーチ(10%)


 ややあって、眉間に皺を寄せたアイリスが不承不承と口を開く。

「私たちの方が絶対に強かったはずです」
「そうですわね。その意見には同意いたします。個人個人の強さ、という意味ではこちら側が上回っていたでしょう」

 ですが、と続ける。

「実際の勝者は相手チームです。アイリス様たちは個人としては上回っていても、チームとしては圧倒的に負けていたとわたくしは断言いたしますわ」

 ぐうの音も出ないとばかりに押し黙る王女アイリス。
 彼女は大の負けず嫌いだが、現実を受け入れられない愚か者ではない。
 エクスカリバーや王家伝来の必殺技を使えば勝っていたなんてことは絶対に考えないし、口にしない。それはあまりにもベルゼルグの血を継ぐものとして情けなさ過ぎるがゆえに。

 繰り返すが、アイリスとしてはこの大会への参加は遊び以外の何物でもない。
 思い出作り以外にも、日頃の訓練の成果を確かめたいとか、できたらちょっと私TUEEEEしてみたいとか、そういったベルゼルグ王族によく見られるモチベーションで大会に臨んでいる。

 仮に相手と鎬を削った上での敗北であれば、天晴れと相手の強さを清々しい気持ちで受け入れただろう。
 しかし今回は少しばかり負け方が悪かった。
 相手はルールに則って勝利した。卑怯な手を使われたわけではない。
 それでも納得いかない。そんな心境が彼女の機嫌を悪くしている。
 人は誰しも気に入る負け方と気に入らない負け方を持っており、今回は後者だった。

 ちなみにゆんゆんに対して怒っているとかそういう話ではない。
 それどころか先に脱落したのがアイリスなので、むしろゆんゆんには若干申し訳なく思っていたりする。

 そんなベルゼルグ第一王女と紅魔族次期族長。
 間違いなく全参加者随一のステータスを誇る、エリート中のエリートチームを破ったのは、二人と同年代の少年少女であるムカつくぜクソッタレー! チームの三人である。

「挙げられる敗因としては、アイリス様の実戦経験不足と慢心、ゆんゆんの対人戦への腰が引けた姿勢、二人の連携も策も投げ捨てた雑な立ち回りといったところでしょうか。チーム戦なのですから次はちゃんとチームで戦いましょう。これらを見事に突いた相手の戦い方が普通に上手(うわて)でしたわね。いくら能力面で優越しているとはいえ、若さと勢いに任せた無策のゴリ押し一本で優勝できるほど甘くはなかった、ということでしょう」

 事前に相手の情報を集め、戦い方を分析した上で対策を講じ、勝利すべく作戦を練る。
 それはどのチームも大なり小なりやっているであろう、しかし物見遊山で大会に参加していたエチゴノチリメンドンヤチームが怠っていた行為でもある。

「次は絶対に勝ちます! あんな負け方で終わりというのは……そう……ムカつくぜクソッタレー! なので!」
「その意気ですわ」

 気持ちを切り替え、むん、と可愛らしく気合を入れる王女に微笑むリーゼロッテ。

「ただまあなんというか、やはり血は争えませんわね。陛下もお若い頃は連携を苦手としておられました」

 アイリスに限らず、ベルゼルグの王族は常に最前線の先頭に立って戦うという役割を担っているが故か、味方を鼓舞することにかけては他の追随を許さず、軍の指揮能力も抜群に高い。

[9]前 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:2/11

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析