ハーメルン
このすば*Elona
第128話 愉快な森の仲間たち

 そう、ダーインスレイヴである。
 此処に至るまでの旅の思い出話にダーインスレイヴが登場し、あまつさえあなたが所持していると聞かされたウィズは、担い手に栄光と破滅を約束するとされる血塗られた魔剣に強い興味を抱いたのだ。
 魔剣に惹かれていると書くとウィズが魔剣に魅入られたと考えるところだが、彼女はダーインスレイヴそのものではなくダーインスレイヴに用いられている術式にこそ強い興味を持っていた。
 必然的に、一度抜けば血を見るまで止まらない魔剣なのだと聞かされたにもかかわらず、あなたが躊躇い無く鞘から抜いたこと、そしてゆんゆんにゴリ押しで魔剣を使わせようとした事までゆんゆんの泣き言という形で芋蔓式に知られ、軽くお小言を貰ってしまったわけだが、目の付け所が常人とは違うのは流石というべきか、魔道具店の店主らしいというべきか。

 なお調査とはいってもダーインスレイヴは鞘に収めたままであり、剣は抜かれていない。
 このような扱いを受けるのはあまり慣れていないのか、ダーインスレイヴから困惑の感情が伝わってきてはいるものの、あなたとしてはウィズを止める理由が無いのでそのままにしている。

「ウィズさん、それ使いたいんですか?」

 あなたをチラチラ見ながらのゆんゆんの問いかけを受け、ウィズは剣から視線を外して答えた。

「使いませんよ。というよりは使いたくても使えない、と言った方が正しいでしょうか。魔法の威力を強化する効果は無いですし、彼のように剣に魅入られないという確信も持てないので、仮に使えたとしても使う気は一切ありませんが」
「使うだけなら出来ませんか? そりゃ魔法使いが剣を使うっていうのは一般的ではないですけど」
「いえ、私は長剣全般を装備できないんです。タライが降ってくるので間違いありません」
「……そういえばそんなのありましたっけ」

 この世界独自の概念として、装備適性というものが存在する。
 そしてこの適性を持たない武器防具を無理に装備しようとすると、装備を司る神が罰として頭に金ダライを落としてくるのだ。かくいうゆんゆんも里帰りした際に金属製の棍棒を装備しようとしてタライの直撃を食らっていた。
 刀剣類以外を使うと激怒した愛剣による血の惨劇が不可避なあなたからしてみれば、決して他人事ではないし、多少の親近感を覚えもする。

 とはいえタライが降ってくるのは向き不向き以前の問題、どうしようもなく根本的に装備を扱う才能が欠けている時だけなので、あまり見られる光景ではない。前に弓矢を射ったら真後ろに飛ぶといった冗談のような才能が必要になる。
 そして適性は現在の技量とは一切無関係なので、ダクネスが全く当たらない剣を振り回してもタライは降ってこない。ああ見えても剣を扱えるだけの才能は持っているのだ。本人の欲望のせいで完全に腐ってしまっているわけだが。
 剣や槍といった特定の装備に憧れがあっても問答無用で足切りしてしまう金ダライを見て、神の慈悲と受け取るか大きなお世話と憤るかは人それぞれだろう。







 小休憩を終え、探索を再開しようとしていたあなた達だったが、不意に樹海の草むらをかきわける物音が聞こえてきた。
 何者かが接近してくる気配を察知したあなたが取った対応は、ウィズへの目配せ。
 既に杖を手にしていた彼女は無言で頷き、あなたと挟み込む形でゆんゆんの背後に回った。後方の大河からの奇襲を警戒した形であり、最初に決めていた探索行におけるあなた達の並び順でもある。

[9]前 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:2/9

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析