ハーメルン
このすば*Elona
第16話 空を飛ぶ不思議な生首

「……ご主人、俺に人体改造を施してほしい」

 ある日、ベルディアが突然そんなことを言い出した。
 とてつもなく嫌そうな声で。

「具体的には俺の体と首をくっ付けてほしい。色々と考えたんだが、やはり首を持つために片手が塞がっているというのはきつい。常に剣を両手持ちできないから攻撃力は下がるし盾も持てん」

 オマケにご主人は組み手中に隙あらば首を窃盗してくるからちょっとやってらんないとは疲れきったベルディアの言である。

 ベルディアの首が無いことによる不便さはあなたも常々思っていたことだ。
 片手が使えないというのはデメリットばかりが先行しているように見える。
 魔力などで浮かせることができればよかったのだがあなたもベルディアもそんなスキルは持っていない。
 最初から頭など無ければ良かったのだが。

「それは時々俺も思う」

 現状のベルディアは露骨に弱点を曝け出しているわけで、それはもう集中的に攻撃されるだろう。
 勿論人間が相手ならそれを逆手に取ることも可能だが。

「今までは不便だ不便だと思いながらも鳥瞰視点とか編み出して頑張って対処してたんだが、終末に出てくるドラゴンみたいなのが相手だと首を上に投げて鳥瞰視点とかいい的でしかなくてどうしようもない気がする」

 上空に放り投げると同時にブレスでこんがり焼かれた挙句食いつかれてバリボリと噛み砕かれるベルディアの生首。
 あるいは巨人に殴られて一瞬で血霞になるベルディアの生首。
 あなたはそんな光景がありありと想像できた。

「恐ろしいことを言うな! 本当にありそうで怖い!!」

 だがベルディアは本当にそれでいいのだろうか。
 首がくっついた首無し騎士(デュラハン)というのは最早アイデンティティー崩壊の危機である。
 首を付けた瞬間にベルディアのデュラハンとしての個性は完全に死んでしまうだろう。
 新しく腕か頭を生やした方がデュラハン的に美味しいのではないだろうか。

「個性が死ぬとかキャラ的に美味しいとかいいから。今そういうのいらないから」

 本人がそれでいいのならば人体改造を行うのは構わないのだが、あなたはその前に一つだけ試してみたいことがあった。
 デュラハンであるベルディアは頭と体が完全に独立している。
 これを遺伝子複合機に別々に突っ込むとどうなってしまうのだろう。







 そんなわけであなたとベルディアはシェルター内で人体実験を行うことにした。
 当然被検体のベルディアは嫌がったのだが、あなたの結果予測と普通に人体改造を行う場合は別の生き物の首が生えることになると聞かされると渋々ながら人体実験を受けると決めた。

 シェルターの内装は《ハウスボード》という道具で草原に変えてある。
 これは自宅の物件の内装を好きなように弄れるというアイテムで、ある意味冒険者の必携品の一つだ。
 現在アクセルの街はあなたの自宅として認識されているので、やろうと思えばアクセルを好きなだけ改築できるのだろうが流石にそれは駄目だろう。色んな意味で目立ちすぎるし騒ぎになる。

 あなたが四次元ポケットから巨大な《遺伝子複合機》を取り出すと、ベルディアは苦虫を十匹ほど纏めて噛み潰したような顔をした。

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