第20話 脅威のドレインタッチ
「ふーん、やっぱり貴方にもあの子が見えてたのね。貴方の頭に乗ってあんなポーズ決めてるからまさかとは思ったけど」
除霊騒ぎが収まって暫く経ったある日の午後、あなたはカズマ少年と女神アクアと行動を共にしていた。
今日のあなたはカズマ少年からある場所への同行を打診されている身である。
最初は何故自分なのだろうかと思ったが、カズマ少年があなたにこっそりと見せてくれた紙……あなたのとてもよく見知った場所が記載されているそれを見て深く納得した。
確かにそこに行くのならばあなたが共に行った方が面倒が無いだろう。
カズマ少年と行動を共にする女神アクアはあなたが同行すると知ると若干渋ったものの、意外にもあっさりとこれを了承。
「あの子も貴方を信頼してたし、少なくとも悪い人じゃないみたいだから……リッチーはともかく」
とは先日と打って変わって態度が軟化した女神アクアに疑問を抱いたカズマ少年に何か心境の変化があったのかと問われた際の返答である。
アンナが女神アクアとあなたの橋渡しをしてくれたようだ。
そして話をしていて分かったのだが、女神アクアはアンナの声が聞き取れるらしい。
流石は女神。悪霊対策に透明視の装備をしていた故にアンナの姿が見えていたのであろうあなたとは大違いである。
「なあ、二人はさっきから何の話をしてるんだ?」
「こないだの屋敷の除霊の時に私が霊視した女の子がいたじゃない? あの子の姿をこの人も見てたみたいで仲良くなってたみたいなのよ」
「確かアンナ……だっけ? 絶対お前の大法螺かと思ったのにお墓に名前があってびっくりしたわ。どんな感じの子なんだ?」
「除霊騒ぎの時はこの人の頭の上で荒ぶる鷹のポーズを決めてたわね。ちなみに昨日はカズマの背後でヒゲダンスを踊ってたわ」
「アンナちゃんどんだけアグレッシブな幼女幽霊なんだよ! 病弱設定じゃなかったのか!?」
「生前が病弱だったからはっちゃけてるのよ。よくある事だわ」
「はっちゃけすぎだ!!」
そんな他愛も無い話を続けながらあなた達が辿り着いた場所。そこは珍品危険物を求めてあなたが足繁く通っている、他の人間にはともかくあなたからしてみれば王都の店すら凌駕するこの国随一の魔法道具店。
その名は――――
「……ねえカズマ、思いっきり看板に《ウィズ魔法店》って書いてるんですけど」
「そうだな。絶対に暴れたりするなよ?」
「確認の為に一応聞いておくわ。ここってもしかしなくてもあのリッチーがやってる店よね?」
「そうだな。絶対に喧嘩するなよ? その為にわざわざ付いてきてもらってるんだから」
女神アクアは苦虫を噛みつぶしたような顔であなたを見て溜息を吐いた。
「なんでこの人を同行させてるのかと思ったら……でもなんでよりにもよって私を連れてきたのよ。来たきゃカズマ一人で来なさいよ一人で」
「俺が一人でウィズの所に行ったとか知ったらお前どうするよ」
「勿論アンタをぶっ飛ばした後に浄化するわ。女神の従者がリッチーの虜になるとか断じて認めるわけにはいかないもの」
「従者はともかく、そう言うと思ったから連れてきたんだよ。それにめぐみんとダクネスはともかくお前は目を離しとくと大変な事になりそうだしな。今の俺は屋敷を買ったせいで無一文だから何かあったらマジでどうしようもないんだ。もう冬になるって時期に借金なんぞ死んでも御免だぞ」
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