第7話 紅魔族の少女とジャイアントトードの死闘
災厄といえば終末だろうか。
いや、災厄と呼ぶにはたかが無数のドラゴンや巨人が異次元から召喚され人体に有毒な風が吹くだけの終末では弱すぎる。
あなた一人でも三分あれば鎮圧できる程度で災厄ならノースティリスは毎日が災厄だ。
つまり彼女に封じられている存在は最低でも地上に降りた神クラスである可能性が高い。
何が出てくるにせよ災厄で封じられているということは敵ということだ。殺してもいいということだ。
剥製は作れるだろうか。殺したらどんな神器を落としてくれるのだろうか。
今日あったばかりのあなたでは信用も信頼もされていないめぐみんに今すぐ封印を解放してくれとは言えない。
あなたはめぐみんの封印が解けて災厄が訪れる日が来るのを今から楽しみに待つことにした。
そのためなら彼女とパーティーを組むのも吝かではない。
「……あの、ごめんなさい、嘘です。眼帯はただのオシャレで付けてるだけですからそんなに嬉しそうに眼帯を凝視しないでください。本当に取っても何も出てきませんから」
めぐみんはそう言ってあっさりと眼帯を外してしまった。
眼帯に隠されていたのはもう片方と同じ紅い目。
どうやら本当に冗談だったようだ。期待外れの結果にあなたはガックリと肩を落とした。
「ず、随分と親近感を覚えるノリのよさですね。あなた実は中身が紅魔族だったりしませんか?」
変な勘違いをされてしまったようだ。
異世界なのでそういうものなのだろうと思っているだけなのだが。
「むう……まあいいです。聞いているとは思いますが、私とパーティーを組んでもらいたいのですが」
眼帯の件が冗談だった以上、本来なら断っているところだ。
めぐみんはウィズほどの魔法使いには見えない。むしろ駆け出しだ。
だが先ほどの自己紹介で彼女は気になることを言った。
そう、彼女は爆裂魔法の使い手と自称していたのだ。
使えるというのだろうか、駆け出しの身で、あれを。
「勿論です。自慢ではありませんが私は故郷の魔法学校では一番の成績でしたから」
そう言いながら自慢げにめぐみんが差し出したカードにはアークウィザードに相応しいステータスと爆裂魔法の文字が書かれていた。
あなたのカードは相変わらずバグっているがカードの偽造はできない。どうやら本当に使えるらしい。
――爆裂魔法。
それは数多の職業の中で唯一アークウィザードのみが習得可能な、あらゆる耐性を貫通して全ての相手に等しく甚大なダメージを与えるというあなたから見ても垂涎モノの超性能魔法である。
威力こそ届かないもののその性質は必殺技と名高い神の裁きに限りなく等しい。
処理が面倒なメタル系や純魔法属性に耐性を持つ敵にも通用しストックいらずと、もう広範囲攻撃魔法はこいつだけでいいんじゃないかなとすら思える至れり尽くせりっぷりだ。
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