ハーメルン
俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~
そうだ、遊園地に行こう。

 セミが鳴く篠ノ之神社の早朝の境内、そこに四つの人影があった。
 
「点呼!」
「いち!」
「に!」
「さん!」

 俺の前に並ぶのは二人の子供と一人の大きな子供。

「一夏、今日の目的地は?」
「はい! 隣の県にある遊園地、ディステニーランドです」

 元気よく答える一夏、うん、子供らしく実に元気だ。

「箒、注意事項は?」
「はい! 夏なので水分摂取はこまめに、また、団体行動になるので勝手な行動は禁止です」

 口調こそ硬いが、今日の箒はキマっている。この前俺がプレセントした、白いワンピースに麦わら帽子をかぶり手にはお弁当のバスケットを持っている。これでもう少し柔らかい笑顔ができるようになれば一夏もイチコロだと思うんだが。
 服は完璧俺の趣味だけど、嫌いな男はいないはず……いないよね?

「束さん、貴女の役割は?」
「はい! いっくんと箒ちゃんを愛でる係りです!」

 二人よりも元気一杯に返事をするのは束さん。
 服装はいつも通りだが、今日は箒とお揃いの麦わら帽子ををかぶっている。
 うさみみが帽子を突き抜けているのがシュールだ。

「違います。貴女は保護者兼記録係です。年長者としてしっかりしてください」
「え~、年ならしー君の方が」
「千冬さんの抱き枕が完成間近(ボソッ)」
「二人共、今日は束お姉さんの言う事をしっかりきくんだぞ☆」

 一夏と箒がまるで変質者を見る目だが、本人がやる気になってくれたからいいや。

「それじゃあ移動するよ~」


◇◇ ◇◇


 ディステニーランド、近年子供に大人気の遊園地である。
 気が強くぶっきらぼう、でもなんだかんだで人助けをしてしまうツンデレ黒オオカミのシンくん。
 その親友で、いつも物静か、冷静にシン君をサポートするキツネのレイくん。
 二人の友人で姉御肌の紅一点、犬のルナちゃん。
 うん。たぶん経営者は転生者じゃないかな? そう思わずにはいられない設定だ。

「さて、二人共なに乗りたい?」

 無事遊園地に到着したので一夏と箒に訪ねてみる。しかし。

「一夏? 確かジェットコースターに乗りたいと言ってなかったか?」
「向こうは混んでそうだからな、まずは箒の乗りたい物でいいぜ」

 二人共互いに遠慮して行き先が決まらない。
 ここは誰かが率先して決めるべきかな?

「じゃあ、マスドライバーマウンテンに行ってから、箒が行きたがってた体感脱出ゲーム、タケミカズチ危機一髪に行こうか」

 そう提案すると二人共笑顔で頷いてくれた。

「ほら行きますよ束さん」

 さっきから大人しい束さん、なんてことはない、非常に不機嫌なだけだ。
 
 原因は二つ。
 
 一つは束さんに話しかけてくる人達の存在。
 ISを作り、テレビに出演していた束さんはちょっとした有名人だ。握手やら写真やらを求めてくる人もいる。束さんにはそれが凄くウザったいらしい。
 
 もう一つは。

「そ・こ・だ~!」

 何かを人混みに向けて投げる束さん。
 ボールの様な物がマスコットキャラのレイ君の頭に当たり、バタッと倒れる。

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