No00.プロローグ
『行けッ!! ゴッドキャリバス!!』
『潰せッ!! ゼウスエデン!!』
全世界を巻き込んだ事件、それは多くの人々の目に映り、衝撃的な記憶となった。しかし人の記憶も所詮は長くは持たない。既に過去の事となった事件はあれから十年後の世界にて、多くの人々から既に忘れ去られていた。しかし、移り変わりの激しい人の記憶の中で十年を経た今でも人々から忘れ去られていない物が一つ。
『ほらッ、チビ共、早くしねぇと遅れるぞ! 急げ!!』
『リーダー、急ぐのは構いませんけど、俺をハルヤと一括りにしないでください』
『酷いよ桜!』
『五月蠅い! 下の名前で言うな!』
大通りの道を全速力で駆ける赤髪の少年と、その後ろを追い駆けながら口論する二人の少年。どこへ向かっているのか止まる事無く走り続ける彼等だったが、突然何かを見つけたのか、先頭を走っていた赤髪の少年はそこで足を止め、後の二人も合わせるように立ち止まる。
「着いたぜ!」
彼等が立ち止まった先にあるのは、巨大なドームの中に建てられたスタジアム。このスタジアム内では、既に多くの観客が賑わう中、さらに我先にと色んなカードバトラー達も会場内へと入場し、自分達も遅れまいと慌てて三人も入場者に並んで会場内へと入る。
『さぁさぁさぁ、カードバトラー皆!! 今日はたくさんの来場ありがとうーーッ!!』
入場するなり、彼らを出迎えるように響く大きな声、ステージ上では派手な衣装で手を振りながら挨拶する一人の女性の姿があった。
『みんなともだち???』
「「「YES! マジカル!!」」」
合言葉のようにスタンドマイクを客席に向ける女性に対し、会場中の全員が声を揃えて叫ぶ。彼女の名前はマジカルスター咲。まるでアイドルのような名前の彼女だが、その実は大会運営に携わっており、様々な会場で司会進行等を担当し、明るい性格やカリスマ性に多くの人々からアイドル顔負けの人気を得ている。お祭り騒ぎの様に賑わう会場、3人組の少年達も声を大にして周りの掛け声に負けない程叫んでいる。
「やっぱ乗り遅れたな。ほぼ一杯だ」
赤髪の少年の言う通り、既に客席は満員状態。会場の外ではさらに多くのカードバトラー達が並ぶが、あまりの行列に既に入場制限が設けられていた。
「キャプテン!! しっかりこのバトル見届けてやろうぜ!」
「俺の隣で騒いでんじゃねぇよ!! ぶっ飛ばされてぇか?」
「やんのかコラ、この脳筋馬鹿が!!」
「上等だ!! 何時でもやってやんぞ!!」
「どっちも喧しいぞ!! テメェ等!!」
「ねぇスグルもアカネも早く来なよ? もっと近くで見ようぜ!」
「こらアオト。あんまはしゃぎ過ぎんなよ?」
「私……人混み、嫌い」
「平気だって!! ほらほら早く行こう!!」
「ったくしょうがねぇなぁ。アカネ行くか?」
「うん。二人が行くなら、着いて行く」
「氷牙さん、もうすぐ始まりますよ?」
「むにゃ? あー……眠い。悪ぃけど沖田代わりに見といてくれ、俺寝るから」
「何の為に来たと思ってるんですか! いい加減起きてください!!」
彼等の他にも会場内に見られる個性的な面々。だが一見バラバラな彼等全員がこの会場に足を運んだ理由はただ一つだった。
『さぁ皆さまお待たせしました! 世界チャンピオンのエキシビジョンマッチ、間もなく開戦いたします!!』
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