ハーメルン
魔法科高校の幻想紡義 -旧-
第10話 結ぶ者

ラグナレックの代表としてブランシュと契約を交わした水無瀬呉智(みなせくれとし)は東京西部に広がる山林の中にいた。

呉智はその鋭い視線で腕時計をジッと見据えて、その時を待つ。

そして、指定の時間になった瞬間、呉智はブレスレット形態の汎用型CADに指を走らせた。

呉智が流し込んだ想子(サイオン)によって、起動式の展開が始まる。

そうして展開された魔法式は加速系・移動系複合魔法――ある魔法の終着点という機能を持っただけの魔法だ。



ラグナレック・カンパニーの軍隊は、『本隊』と『駐留部隊』の二つに分類されている。

駐留部隊は、契約を交わした国家に傭兵として駐留している部隊だ。

一線級の装備を持ち、少なからぬ魔法師も抱える彼ら駐留部隊も、強力な軍隊であることには何ら変わりはない。

そして傭兵に偽装してラグナレックに入隊している各国の諜報員も、全て駐留部隊に配属されている。

だが、敵対勢力から心底恐れられ、大国の一角であるインド・ペルシア連邦軍から『シャイターンの軍勢』とまで畏怖されているラグナレックの主戦力は『本隊』の方だ。

本隊には強力な魔法師が数多く配属されており、その打撃力は絶大だ。

一方で本隊の情報については、若干数の魔法師についてはどのような魔法を使うのか判明、または推測できているが、本隊そのものの組織については一切の情報が無く機密のヴェールに包まれている。

各国の諜報員も何とか機密だらけの本隊に配属されようと工作を続けているが、結果は芳しくない。

実のところ、本隊はバートン・ハウエルを総隊長とした複数の部隊から成る連隊であり、その部隊員全てがあの本物の魔女であるマイヤ・パレオロギナの手で強化された強力無比な魔法師たち()()で構成されている。

魔法そのものが属人性のある技能のため本隊にも様々な魔法師がおり、その中には特定の魔法に特化した者も少数ながら在籍している。

その中の一人が、たった一つの魔法に特化した魔法師。

他の魔法を使えない代償として、不可能と言われている魔法を可能にしている規格外の魔法師。

彼の魔法演算領域には、ただ一つの魔法式のみが存在している。

その魔法は、難関魔法と呼ばれるもの、ではない。

対象物の密度を操作する収束系魔法において一度は語られ、不可能だと判断された魔法。

ラグナレック本隊の機密魔法の一つ。

対象となる情報体の密度を極限まで薄め、別の場所で再び同じ密度で構築する。

究極の収束・加速・移動系複合魔法『物質転移(テレポート)』。

ラグナレック本隊直轄部隊である『フェンリル』部隊所属の魔法師、(シェ)鄭揚(チェンヤン)のみが持つ、世界で唯一つの魔法だ。

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