ハーメルン
魔法科高校の幻想紡義 -旧-
第2話 腐れ縁


「そうか、そこまで言うのなら信用しよう。大切な姪の結婚式なんだ。結婚式も護衛も、どうかよろしく頼む。あと、同じ男としてのアドバイスだ。秘宝は本棚の中に紛れ込ませるといい。木を隠すなら森の中だ。私はそれでバレなかった」

「だってさ」

ニヤニヤとしている二人の視線を受けた駿は、雅季と出会ってから何度も感じている「穴があったら入りたい」という思いを再び感じていた。



森崎駿は結代雅季が“苦手”だ。

普段から面白可笑しくからかってくるくせに、不思議と憎めない。

無視しようとしても、何故か腐れ縁で一緒になってしまう。というか無視できるほど雅季は没個性な人間性ではない。

ある時は「あいつ、面白いからって理由でポリヒドラ・ハンドルみたいな偶然を利用する魔法を使ってないよな?」と本気で疑っていたこともある。

そう、結代雅季は魔法が使える。それも森崎駿より強い魔法力を持っている。

だというのに、決してそれを誇ったりしない。否、誇りとも思っていない。

当然だ、結代雅季にとって魔法とは『趣味』であって『本業』ではない。

雅季の本業はあくまで結代神社の、縁結びの宮司であり、魔法師ではないのだ。

それを知った一時期は愕然として、忸怩たる思いに駆られたものだが、雅季の『結代』という家名にかける真剣さを知っているだけに、今では何とか割り切れている。

やはり、森崎駿は結代雅季が“苦手”だ。天敵だと言ってもいい。

森崎駿の価値観とは全く噛み合わないくせに、どうしてか不思議と腐れ縁が続く。

きっとこれから一年間、苦労することになるんだろうなぁと、森崎駿は高校生活二日目で既に悟り、暗澹とした気持ちでいっぱいになっていた。

それは絶世と言っても過言ではない美少女、司波深雪が教室に入ってきて教室内がざわついても、それに気づかないぐらいだった。

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