第4話 風紀委員会の憂鬱
魔法科高校の入学式から三日目。新入生も新しい生活に少しばかり慣れてきたころだ。
そして、友人関係もある程度構築され始め、それぞれ仲の良い集団というものが出来上がってくる。
たとえば、一年E組で言えば司波達也、千葉エリカ、西城レオンハルト、柴田美月の四人組。
一年A組で言えば司波深雪、光井ほのか、北山雫の三人。
また両グループは達也と深雪の兄妹繋がりで一昨日、昨日と一緒に帰っており、その時は一科生と二科生が入り混じった異色のグループとして一年の中で衆目を集める集団となっていた。
まあ、グループ構成より美少女が多いから、という点でも衆目を集める要因になっているが。
そして、既にA組だけでなく他の組すら認識している、片方に言わせれば認識されてしまったタッグが、
「教員枠の風紀委員だって、駿。がんばれよ、お前が活躍できるように俺もがんばるから」
「お前は頑張るな! トラブルメーカー!」
結代雅季と森崎駿、今はまだ教師陣と一部の上級生しか知らないが、入試の成績において男子実技ツートップの二人である。
魔法科高校にも部活動はある。
それも魔法科高校ならではの、魔法を使った部活動が非常に活発だ。
というのも、夏にある九校戦の大会など公式大会の成績がそのまま各校の評価に反映されるし、同時に各部の学校側からの評価や便宜も大会結果に大きく影響される。
よって学校側としても部活動には非常に力を入れているし、各部による優秀な新人獲得のための勧誘も熾烈を極める。
その為、新入生勧誘活動があるこの一週間は部活間のトラブルが絶えることはなく、その火消し役である風紀委員にとっては非常に忙しい時期である。
生徒会枠で風紀委員となった司波達也。
同じく教員枠で風紀委員となった森崎駿。
二人の姿も風紀委員の本部の前にあった。
「……何でお前がここにいるんだ?」
再会の第一声が、森崎の心境そのままだった。
風紀委員は部活間や生徒間の争いを抑える、言わば学校の警察機構だ。
必然的に実力が無ければ到底務まらない役員だ。
森崎にしてみれば、二科生である達也に務まるのか甚だ疑問であった。
「生徒会枠で選ばれた。理由は……生徒会長か風紀委員長に聞いてくれ」
選ばれた時のことを思い出したのか、憂鬱そうな溜め息を吐く達也。
そんな達也を見た森崎の中に、不思議な共感が生まれる。
(そうか、お前も苦労しているんだな)
主に苦労人という当人たちにしてみればありがたくない共通点によって、森崎の達也に対する心境は幾分か和らぐ方向へ向いていった。
具体的には「先日の借りもあるし、危なくなったら助けてやるか」と思える程に。
「新人ども、お喋りはそこまでだ。席に着け」
摩利の一声で達也と森崎は長机の最後尾にそれぞれ席に着いた。
会議が終わり、摩利から風紀委員の仕事方法を学んだ達也と森崎。
達也が備品であるCADを二機装着した時、摩利はニヤリと笑ったが、森崎は特に何も思わなかった。
理由としては森崎自身もCADを二つ持っているし、先日の一幕でCADを二つ持つことの利点を達也は知ったのだろうと思ったためだ。
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