BLEACH 第四十三話
ユーハバッハが山本元柳斎の卍解を使用する前の事だ。山本率いる死神と滅却師の生き残り達は技術開発局に集まっていた。
「その方法で、霊王宮への門が出来るのじゃな?」
「はい」
山本のその問いに答えたのは浦原喜助だった。浦原は様々な未来を予測し、霊王宮へと乗り込む必要性がある可能性を考慮に入れていた。そしてその為に、霊王宮へと到達する為の手段を模索していたのだ。未知数の手段とユーハバッハに称されたのは伊達ではなかった。
様々な準備を終えた浦原は瀞霊廷に移動し、そして技術開発局で山本達と合流したのだ。最高のタイミングで最高の手段を携えてきた浦原に、とある一人の死神以外が諸手をあげて歓迎したくなった程だ。
「クアルソさんが霊王宮までの障壁を破ってくれた今しか使えない方法です」
浦原が用意した移動手段は、瀞霊廷と霊王宮を直接繋ぐ門を作り出す事だった。尸魂界と断界、断界と現世の歪みに発生する特殊な物質を用い、霊王宮へ向かう移動エネルギーとする。
そして死神や滅却師がその物質に大量の霊圧を籠める事で、霊王宮に繋がる門が作り出されるのである。
「霊圧の増幅器もある。これがあれば浦原喜助の予想よりも遥かに早く門が出来るヨ。霊圧を大量に必要とするなら、これくらい用意していたらどうだネ?」
そう言ったのは涅マユリだ。自分が用意出来なかった手段を浦原が用意した事が癪に障ったようで、浦原に対して辛辣な対応を取っていた。
尤も、そうでなくても浦原に対しては常に辛辣なのだが。
「ええ。涅サンがこんなのを用意してくれていたので助かりましたよ」
「フン」
殺してやりたい程憎たらしい相手だが、流石の涅もこの場、この状況では自重した。今は内々で争っている場合ではないと涅も理解しているのだ。
「ならば一刻も早くユーハバッハを倒すため、霊王宮への門を作り出す! 皆、霊圧を籠めよ!」
『はっ!』
山本の号令に多くの死神が了承の声をあげ、液体のように見える特殊な物質に霊圧を籠めていく。ユーハバッハを倒したいと願っている滅却師も同様にだ。
強大な霊力を持つ魂魄が無数に集まった事と、霊圧増幅器により門が形作られていく。だが、それでもかなりの時間が掛かるようだ。それ程に霊王宮に至る門を作るのは困難だった。
そうして少しずつ門が形成されている時の事だ。瀞霊廷の遥か上空で、瀞霊廷の全域に至るほどの巨大な雷が走った。
『!?』
現在山本達が居る門を作り出す室内は、その機構の為か天井が開いていた。それ故に、先程の雷を誰もが目にし、そして誰もが驚愕する。
「あ、あれってあたしの雷霆じゃねーか!」
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