ハーメルン
どうしてこうなった? 異伝編
NARUTO 第十話

 それを防ぐ為に、二人を敵を殺す為のマシーンに切り替えようとしているのだ。
 そして大蛇丸が札を埋め込もうとした瞬間――結界の中に新たな乱入者が現れた。

『!?』

 三代目も大蛇丸も、結界を張っていた大蛇丸の部下も、結界の外を見守るしか出来なかった暗部も、新たに現れた存在に驚きを隠せなかった。
 その乱入者は、暗部の侵入を拒んだ強力な結界を突き破り、三代目と大蛇丸の間に着地したのだ。これだけの結界を容易く突き破る、味方ならば頼もしく、敵ならば難敵だろう。敵か味方かどちらだ? 三代目も大蛇丸も同時にそう思い、そして三代目はそれが味方であると判断した。
 乱入者の姿に見覚えがあったのだ。去年アカデミーを卒業し、日向ヒアシの付き人として三人一組(スリーマンセル)を組まずに一人で下忍として活動しているという日向アカネ。
 木ノ葉にいる忍――アカデミーの候補生は除く――ならば全員覚えている三代目は、すぐにアカネの名を思い出した。

「お前は……日向アカネか! 何故ここに!?」
「日向? 白眼の娘が何の用かしら?」

 乱入者の正体が判明した所で、三代目も大蛇丸もすぐに落ち着きを取り戻した。
 三代目はこれから起こるだろう血みどろの殺し合いの中に入ってきたアカネを心配するが、大蛇丸はわざわざやって来た実験サンプルに興味を示していた。

「白眼は持ってなかったわねぇ。写輪眼と比べると見劣りするけど、貰えるものなら貰っておこうかしら」

 世界各地から集めた珍しい能力を持っている大蛇丸の実験体の中にも、日向一族はいなかった。
 日向一族は白眼に対する警戒心が強いので、大蛇丸でも奪う事は容易ではなかったのだ。
 結界を突き破っての闖入には驚いたが、三代目を殺すついでに貰っていくのも悪くはない。そう思っていた大蛇丸は、すぐにその考えを破棄した。

「う、おお……!」
「これは……!?」

 目の前の少女から放たれるプレッシャーに、大蛇丸は先程までの考えが甘い物だと理解した。
 あまりのプレッシャーに周囲の屋根はどんどんとひび割れていく。先の三代目と大蛇丸のプレッシャーの比でない。
 大蛇丸は確信した。これは……化け物だ。

「ガハハハハ!」

 三代目と大蛇丸がアカネのプレッシャーに気圧されている中、初代火影が突如として笑い出した。
 そして大笑いしている初代とは対照的に、隣にいる二代目火影は頭を抱えてアカネを見ていた。

「なるほど! お前は本当にオレを驚かせる!」
「穢土転生が成功せんわけだ……」
「……まさかッ!」

 大蛇丸は二人の言葉の意味が理解出来なかった。だが三代目は理解出来たのか、驚愕の瞳でアカネを見ている。
 そしてアカネは初代と二代目の言葉を聞いて、それまで放っていたプレッシャーを弱め、二人を見ながら微笑み語りかけた。

「安心しろ。すぐに止めてやるから」
「うむ! 任せたぞ!」
「お前がどうしてそのような姿で、今ここにいるのかは知らん。だが、木ノ葉を頼んだぞ」

 アカネの言葉に、柱間と扉間は頷いて答えた。
 そして二人の返事にアカネもまた頷く事で返した。

「何を!? 木ノ葉は今日終わるのですよ! 先代達は物言わぬ殺戮人形になっていただきましょう!」

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