NARUTO 第十五話
「うーん、今日もいい修行日和だ」
空からは燦燦と太陽の光が降り注いでいる。まるでナルト達の成長を祝福しているようだ。……当のナルト達は今日も地獄が始まると朝からどんよりしていたが。
そんな風にアカネが機嫌良く歩いていると、ふと見知った人達を見掛けた。アカネの正体を知る数少ない者達、うちはイタチとうちはシスイである。
二人は日向一族に用があるのか、日向の敷地に向かって歩いていた。つまり日向の敷地から出て行こうとしていたアカネとは自然とすれ違う事になる。
「おはようございますシスイさん、イタチさん」
「おはようアカネちゃん」
「おはよう」
アカネもシスイ達もどちら肩書き通りの立場で会話をする。つまりアカネは下忍であり、イタチは上忍、シスイは火影の右腕としての立場だ。前以って決めてあった通りの対応である。
「本日は日向にどの様なご用件でしょうか?」
「ああ、サスケ君から修行の時間を聞いていたがどうやらいいタイミングだったようだね」
アカネはシスイのその言葉からどうやら二人は自分に用があるのだと理解する。
「……なるほど。誰も居ない場所の方が都合が良いでしょうか?」
「出来ればね」
「……」
アカネの質問に対し、シスイはイタチを見つつ答えた。当のイタチはどこか不満そうだ。あまり表情を変化させてはいないがアカネにはそう読み取れた。
用件とはどうやらイタチに関する事のようだ。そう思ったアカネはイタチを少しだけ観察する。そして長き年月によって鍛えられた観察力により、イタチの体にどこか違和感があると感じ取った。
「……付いて来てください」
アカネは二人を連れて人気のない場所へと移動する。宗家の屋敷も考えたが、出来るだけ広めたくない話ならば止めた方がいいだろうと思い直したのだ。
宗家の屋敷ならばヒアシの耳に入るのは確実だ。人払いをするにも表立った立場が低いアカネではヒアシに頼まねば出来ないのだから致し方ないだろう。
そうして到着した林の中で周囲に他者の気配が無い事を確認し、アカネは二人の用件を聞く前に白眼を発動してイタチの体を詳しく調べた。
「……これは」
「流石はアカネ様。イタチの状態を察して白眼にて早くも確認するとは。……どうでしょうか?」
シスイは誰も居ない場所なので口調をヒヨリに対する物へと改める。
シスイの言葉の意味。それはイタチの容態は大丈夫なのでしょうかという確認の言葉だ。
それはつまり、イタチの体が病に蝕まれているという事だった。
事の発端は数ヶ月前にイタチが任務を終えて里へと帰還した時だ。
うちは一族は警務部隊を担当しているが、だからと言って通常の任務を受けられない訳ではない。警務部隊が休日の時や、人が足りている時には里の任務を受ける一族も少ないがいるにはいた。イタチもその一人だ。
そして久しぶりの長期任務を終えて帰って来たイタチをたまたまシスイが発見した。良く知った仲であり兄弟のいないシスイはイタチを弟の様に思っており、当然気軽にイタチへと声を掛けた。
いや、掛けようとした。掛けようとしたが、イタチがふらりと道から外れて人気の無い小道に入っていくのを見て声を掛けるのを止めたのだ。
悪戯心が湧いたシスイは少し驚かせてやろうと思いイタチをこっそりと尾行した。そしてそこで咳き込み膝を突くイタチを見てしまったのだ。
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