ハーメルン
どうしてこうなった? 異伝編
NARUTO 第二十一話

 木ノ葉の里は忍界にある忍の隠れ里の中でも最大と言っても良い強国である。
 多くの優秀な秘伝忍術を使える忍を有しており、血継限界も強力な瞳術である写輪眼のうちは一族と白眼の日向一族を有している。
 忍里の中では比較的穏やかな風潮もあり、更に肥沃で広大な土地を持っている為に忍の数そのものも他里と比べて多いのも強国の理由だろう。
 質と数。二つの力を共に有しているからこその強国だ。

 だが、その強国であるはずの木ノ葉の里が現在蜂の巣をつついたかの様な騒ぎとなっていた。
 その原因は何かと問われれば誰もがこう言うだろう。「化け物が現れた」と。

 化け物。それは二つの存在を指す言葉だった。
 一つは日向アカネ。怒りと共に発したチャクラは大瀑布の如くに木ノ葉へと一瞬で届いていた。
 それを感じ取れなかった忍は一人としていない。下忍はおろか、アカデミーの忍候補生も当然の如く、そればかりかチャクラをまともに感じ取る事が一生ないだろう一般人にすら感じ取れた程だ。
 この時点で木ノ葉の忍は何かとんでもない事が起こっていると漠然と理解し、アカネのチャクラを良く知る者達はそれ以上に恐ろしい何かが起こっているのだと恐怖した。アカネが全力を出す事態など易々と想像は出来ないのだから当然だ。

 そしてもう一つの化け物。
 それが突如として森の中から現れたチャクラの巨人、うちはマダラの完成体須佐能乎である。
 数kmは離れている為に流石に須佐能乎の姿は小さく映る程度だが、逆に言えば数kmは離れているというのにその大きさで見えるという事だ。
 多くの忍や民は塀で囲まれている為に巨人を見る事はなかったが、それでも少なくない数の忍は高所からそれを見つけて驚愕していた。

 しかもその巨人が巨大な剣を里に向けて振るっているのだ。その一撃は強大な衝撃波となって上空を通過していく。その際に雲は散り散りとなって消し飛んでいた。
 その威力は塀の中からも見えていた。雲を消し飛ばす程の威力を持つ何かが里に向けられている。それを理解して恐慌しない者は殆どいないだろう。
 特に一般人である里の住民は怯え竦んでいた。多くの忍が彼らの避難誘導を率先した事でパニックによる被害は少なく済んだが、それだけでも大騒ぎと言えた。

 この巨人に関してはアカネを知る者達も多くが知らない存在であったが、それを理解する者も少ないがいた。

「これは……! イタチ!」

 マダラの完成体須佐能乎を見たうちはフガクは隣にいる息子のイタチへと確認する。
 あれはオレの知るそれ(・・)であっているのか、と。

「須佐能乎なのか……!? だが、オレの須佐能乎とは……」

 桁が違う。イタチも須佐能乎に目覚めている史上でも数少ない万華鏡写輪眼の開眼者だ。
 だがイタチの目に映る完成体須佐能乎はまさに桁が違った。振るうだけで天を切り裂き、雲をかき消し、当たってもいない大地を揺るがす。まさに化け物の総称が相応しいだろう。

「まさかあれはうちはマダラの……!?」

 イタチはその鋭い分析力であの須佐能乎がマダラの力であると推測する。
 それを聞いたフガクはイタチの言葉を一度は否定した。

「馬鹿な……! うちはマダラは当に死んでいる! そんなはずは――」

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