NARUTO 第二十四話
大地に立ち尽くし虚空を眺め続けている大蛇丸。そんな大蛇丸に止めを刺すべくサスケは千鳥を振り下ろそうとしていた。
だが、それを止めた者がいる。大蛇丸にイザナミを仕掛けた本人であるイタチだ。
「待てサスケ」
その言葉を聞いたサスケは大蛇丸に触れる寸前の千鳥を静止し、イタチに向かって叫んだ。
「どうしてだ兄さん!? こいつは生かしておいても――!? に、兄さん、その左目は!?」
生かしておいても害悪しかない存在である大蛇丸に止めを刺す事を止めた兄に憤るサスケだが、イタチの左目を見た瞬間にそんな感情は吹き飛んでいた。
イタチの左目が一切の光を映していないのである。そう、これがイザナミの反動であった。
「イザナミはその効果と引き換えに失明するリスクを負う……」
イザナミとはイザナギを止める為に編み出された瞳術だ。
イザナギは術者の都合の良いように運命を変えるうちはの完璧な瞳術だと言われていた。
己の結果に上手く行かない事があればその結果を掻き消し元に戻る事が出来る。失明というリスクはあるが眼を交換さえすれば何度でもやり直せるという究極の幻術だ。
だが、イザナギには失明以上のリスクがあった。結果を己の思うがままに変える事が出来る故に術者を驕らせ、個を暴走させる要因となったのだ。
イザナギの術者が一人ならば問題はないが、二人以上になると都合の良い結果の奪い合いが始まるのだ。
それを止める為に作られたのがイザナミなのだ。
都合のいい結果のみに運命を変えようとすると同じところを永遠とループし続ける仕組みだ。
だが失明をリスクとするイザナギを止める為に作られたせいか、イザナミもまた失明をリスクとしてしまうのだ。
しかもイザナミは対象を救う為の術。故にイザナミから抜け出す方法もまた存在している。抜け道のある術など実戦では危険なので使用出来ない。そういう意味でイザナミは禁術とされていた。
だが、そんな欠陥禁術を使ってまでイタチは何故大蛇丸を止めたと言うのか。それはサスケにも疑問であった。
「何でだ! どうして兄さんがそんなリスクを負ってまで大蛇丸にイザナミを掛けたんだ!? まさか大蛇丸を救うためってわけじゃないだろうな!」
実力で自分たちを凌駕し、再生までするという限りなく不死不滅に近い大蛇丸を倒すのにイザナミを使ったのはサスケにも分かる。
だがその後に止めを刺さずにいるというのは納得が出来ない事だった。抜け出す可能性があるならば今ここで止めを刺すべきなのだ。だが、イタチの考えは違っていた。
「今ここで大蛇丸を殺すのは簡単だ。だが、それで大蛇丸は本当に死ぬのか?」
「なに……?」
そう、大蛇丸は殺しても死ぬのか。それがイタチの疑問だった。
イタチは自来也から大蛇丸の情報を確認している。情報とは戦闘に置いて非常に重要な要素だとイタチは理解しているのだ。それに大事な弟を狙っているという大蛇丸に関して調べずにいられるわけもなかった。自来也以外にも大蛇丸の元弟子であった人物や、大蛇丸の人体実験場の跡なども調べている。
イタチは様々な観点から大蛇丸を調べた。そしてその不死に対する類まれなる欲望を知ったのだ。
そんな大蛇丸が何の保険も掛けずに木ノ葉に戦争を仕掛けるだろうか? 日向アカネの存在は大蛇丸も知っているはずだ。あのアカネを敵に回して死の危険はないと驕るだろうか?
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