NARUTO 第二話
「断る!」
「マダラ、お前個人的な感情で言ってないか?」
「いーや違うね! 股間見られた事なんか関係ねー! 嘘じゃねぇぞ!」
誰が見ても関係していると思うだろう。そんな必死さがマダラから伝わっていた。
「大体こいつの言ってる事が嘘じゃないとどうして分かる?」
「オレは……嘘じゃないと思ってる。他の目的があるなら……自分から姓を名乗らないだろ?」
「それは……!」
それはマダラにも解っていた。あの時姓を名乗った理由が今なら解る。
あれはヒヨリの誠意だったのだ。遠くから覗き見し、目的有って近づいてきた。だからこそ嘘偽りなく姓も含めて自己紹介した。
そして、姓も名乗れない世の中は嫌だというヒヨリの本音も知らしめる為の自己紹介だったのだと。
今の世を変えたいと本気で願っている事を誰よりも早くに明言したのだ。
「オレ達どころか下手すればオレ達の一族と敵対しかねない。そんな可能性があったのに、姓を名乗ったんだ。オレは……信じたい」
「……」
柱間の言う通り、姓を名乗る事は二人はおろかその一族まで敵に回しかねない愚行とも言える。
だがそれでもヒヨリは姓を名乗った。それが分からない程馬鹿ではないだろう。つまりそれだけ自分達に賭けたのだとマダラも理解出来る。
二人を殺す事が目的ならその機会はいくらでもあった。もしかしたら姓を名乗る事で二人を仲違いさせるのが目的かもしれない。結果的にそうなる可能性は高かったと言えよう。
だがそこまで疑っていてはもう誰も信用出来なくなるだろう。マダラは自身と柱間の夢を叶える為には他人を信用する必要がある事を思い出す。
「……分かった。ただし一度でも裏切ったら二度と信用しないからな」
「もちろんです!」
「……」
マダラが渋々と言った感じにヒヨリを認めたところ、それを聞いてヒヨリは喜びを顕わにする。
そして柱間はヒヨリの台詞を聞いて、「いや、そいつはもちろんじゃなくてもろちんだっだぞ」などと口走ろうとしたが止めにした。
恐らくこれを口にしたが最後、マダラとは完全に敵対関係になる様な気がしたのだ。やるなら時間が経ってほとぼりが醒めてからだ。あまり連続してからかうと相手を怒らすだけだろう。
三年後くらいにまたからかってやろうと決意して、それを一切表には出さずに柱間は二人に話し掛ける。
「よし! これでオレ達は同志だ! これから三人でどうすれば良いか考えて行こうぞ!」
「お前今なんか良からぬ事を考えてなかったか? オレの首筋がチリチリするんだが?」
「気のせいぞ気のせい! オレは仲間が増えて嬉しく思ってただけぞ! アハハハハハ!」
どこかわざとらしい乾いた笑いをしながら、柱間はそう言って誤魔化す。
マダラもジト眼で柱間を見ているが、実際に証拠はないのだからこれ以上の追求はしなかった。
「さて! 今日の所はこれで終わりにしよう。思った以上に時間が過ぎている。これ以上は一族に余計な心配をされるだけぞ」
「……そうだな。下手に疑いを掛けられたらこの集まりも終いだ。今日は一旦解散して、また後日に会って話そうぜ」
「そうですね。ちょっとお待ちを……」
そう言って白眼を発動するヒヨリ。感知に自信のあるヒヨリだが周囲に気配は感じない。だが完全に気配を消していればヒヨリでも感知出来ないやもしれない。
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