NARUTO 第三十四話
忍連合軍が第四次忍界大戦に向けて動いている中、キラービーはとある土地にて発見・拘束された。彼は非常にマイペースな性格をしており、大蛇丸に襲われた時のいざこざを利用して里から抜け出し、心配する者や捜索する者の気持ちもそっちのけで自分の趣味に浸っていた。
その趣味とは……演歌である。元々はラップが好きだったのだが、次は演歌だと急に言い出し、八尾の声も無視して演歌忍者棟梁であるサブちゃん先生の元へ演歌の教えを請いに行ったのだ。……演歌忍者という需要があるのかどうか分からない存在がいるこの世の中は、きっと広いのだろう。
ともかく、多くの捜索隊やアカネの影分身による捜索によってキラービーは発見され、そして兄貴分であるエーによってしこたま怒られた後に保護された。暁に捕らえられる前に八尾と九尾の安全を確保でき、一先ずは有利に事を運べていると言えよう。
さて、渦中の人物である九尾の人柱力のナルトだが、彼は今も激しい修行を積んでいる最中であった。
「はあぁぁ!」
「おおぉぉ!」
相手は当然というべきか、最早終生のライバルとも言えるサスケである。
仙人モードのナルトと、万華鏡写輪眼に目覚めたサスケ。多くの修行で高められた二人は、新たな力を得た事で更に激しいぶつかり合いをしていた。
視界にある空間に直接黒炎を呼び出す天照。サスケがそれを発動した瞬間に、ナルトは仙人モードで感知して即座に回避する。
サスケは呼び出した黒炎をもう一つの万華鏡である加具土命にて操作する。加具土命は天照の黒炎を自在に操る力を持つ。これにより強大だが扱いが難しく、消耗も激しい天照の欠点を補えるという訳だ。
味方であるナルトに気兼ねなく天照を使用出来るのもこの加具土命のおかげである。これがあれば消えぬ黒炎も解除する事が出来るからだ。
黒炎が鋭い無数の刃となってナルトに襲い掛かる。だがナルトは慌てる事なく対応した。影分身を作り出し、その影分身が大地に螺旋丸を叩き込む事で出来た破片を使って黒炎をガードする。
影分身が黒炎を対処している間に本体はもう一体の影分身を伴ってサスケへと突撃する。そして本体と影分身の両方が同時に巨大螺旋丸を生み出し、それをサスケにぶつけようとする。
もちろん影分身を前方に出して本体を死角とし、写輪眼や天照に対する防御とする事も忘れてはいない。
仙術が加えられた巨大螺旋丸。だが、サスケはそれを回避しようとはせずに敢えて受け止めた。そう、サスケが開眼した第三の万華鏡、須佐能乎の力を確認する為にだ。
絶対防御とまで言われる須佐能乎の防御。第二段階にまで至ったサスケの須佐能乎は、ナルトの巨大螺旋丸を確かに防いだ。だが、やはり螺旋丸の威力も然る物だ。そのあまりの威力に須佐能乎にも皹が入っている様だ。
螺旋丸でこれならば、風遁螺旋手裏剣を防ぐ事は難しいな。サスケはそう考える。そしてそれ以上に、己を苛む痛みに思考が逸らされた。
「ぐ、ぅ……!」
「お、おい! 大丈夫かよサスケ! サクラちゃん!」
「ええ! 分かったわ!」
天照を放った左目からは血が流れ、須佐能乎の反動か口からも血が溢れていた。
「問題、ない……! 続きをやるぞナルト……!」
それが強がりであるのは誰の目から見ても明らかである。
サスケは強くなった。悲しみと憎しみを得て万華鏡を開眼し、それを乗り越え、確実に強くなっている。
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