ハーメルン
どうしてこうなった? 異伝編
NARUTO 第四話

 さて、時は流れアカネも三歳となっていた。すくすく育ったアカネは肉体が大分思い通りに動くようになって来ていた。
 長きに渡る人生に、多くの転生。この中で一番辛いのが成長過程の期間である。
 どうしてもまともに体は動いてくれず、かつては丸三日寝ずに闘えていた体力は見る影もない。
 成長して体がまともに動くようになっても、体力は一から付け直さなくてはならないのだ。これがまた苦行だった。
 技術面ではしばらく修行していなかった分の錆落としや、新たな肉体と技との齟齬を無くしていけばいいのだが、体力は本当にひたすら反復して付け直すしかないのだ。
 こればかりは本当にうんざりする事もあるアカネだった。

 それでも毎日の様に幼い体に無理が行かない程度に走りこみを続ける日々を送るアカネ。
 そんな日々にとうとう転機が訪れた。そう、アカネに呪印を刻む日がやって来たのである。



「父上、本日はヒナタ様のお誕生日なのですね」
「……うむ。宗家の嫡子であるヒナタ様の二歳の誕生日だ。今日は盛大な祝いとなるだろう。その目出度い席に我らの様な分家の端くれも招待して下さったのだ。決して無礼な事をしてはいけないぞ」
「かしこまりました父上」

 宗家の目出度い席に招待された事を光栄と言うが、アカネの父である日向ソウは浮かない顔であった。
 それはアカネも察していた。そしてその理由も。

 宗家に何らかの祝い事があり、それに招待される分家の者の中に呪印が刻まれていない幼子がいる。
 幼子の内に宗家という超えられない絶対の壁を刷り込み、幼子の内に呪印を刻む事で呪印が当たり前の物だと刷り込む。そうするには盛大な祝いの日が都合良い。
 盛大であればあるほど、多くの分家が宗家に傅いている姿を見れば見るほど、その眼には宗家が絶対として映るのだから。

 自分の子に呪印を刻まれる。その一生を宗家という大きな籠の中で飼い殺しにされる決定的な楔を刻まれるのだ。それを喜ぶ親は少ないだろう。
 いや、日向にあっては少なくはなかった。分家は宗家の為に命を賭して忠誠を誓う事が当たり前だと思っている分家の人間は多い。そしてそれは決して間違った考えでもなかった。
 宗家という日向にあって最も重要な血を未来永劫残すのは一族として当然の義務なのだから。
 そしてこれはアカネも否定はしていなかった。そういう伝統によって残されていく文化や因習は古き歴史を知る貴重な宝にもなるのだから。

「うむ。流石はオレとホノカの子どもだ! きっと宗家の方々もアカネを気に入って下さるさ!」

 ソウはすぐに浮かなかった表情を隠し、アカネを不安がらせない様に努めた。
 それがアカネには逆に辛い。実は前世の記憶や力を引き継いでいます、等と口が裂けても言えない気持ちになってしまうのだ。
 だが今日はそれを宗家だけでなく、父と母にも教えるつもりであった。隠したままでは呪印を刻めない理由を教える事が出来ないだろう。
 いや、そういう特異体質であると誤魔化す事は出来るかもしれないが、このまま誤魔化したままでいるのは少々気が引けたのだ。

(これでヒヨリとしての立場を得る必要がなければずっと二人の子どものままでいられたのになぁ……)

 覚悟は決めていてもそう思わずにはいられない。覚悟とは、父と母に捨てられる覚悟である。前世を告げるならばそうなる可能性は大いにあるのだ。

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