NARUTO 第六話
結局この事件は雲隠れの落ち度として話はついた。雲隠れ自体は里の関与を認めなかったが、それでも犯人が雲隠れの忍頭である事に変わりはない。
しかし木ノ葉としても人的被害がなかっただけに雲隠れへの要求もさして重い物にはしなかった。下手に拗れて再び戦争が起こるのは避けたかったのだ。
なので雲隠れがそれなりの賠償金を払う事で今回の事件は手打ちとなった。多少は木ノ葉と雲隠れの間にしこりは残るだろうが、戦争にまでは発展しないだろう。
そうして細かな事件が有りつつも、木ノ葉は概ね平穏だった。そう、まるで嵐の前の静けさの様に。
◆
木ノ葉の里の入り口にある“あ”と“ん”の文字が書かれた巨大な門の前に三人の男女がいた。
「アカネ姉さん、本当に行くんですか……」
一人は日向ヒナタ。成長し大きくなった彼女は幼い頃と同じ様に自信無さげに、そして寂しそうにアカネに尋ねる。
この自信のなさに関してはアカネもそれなりに修正しようと努力していたが、まあ殆ど意味がなかった。ここまで来れば生まれついた資質と言えよう。
「ええ。それがヒアシ様から与えられた私の任務ですから」
二人目は日向アカネ。妹分であり守るべき宗家の一員でもあるヒナタのその懇願する様な瞳に精神にダメージを食らっているようだ。
だがそれを振り切ってでもやらなければならない事がアカネにはあるのだ。
日向アカネは現在十三歳となっていた。既にアカデミーは卒業し下忍になっている。それからは中忍試験は受けず、下忍のまま過ごしていた。
アカネは普通の忍と違って三人一組を組んではいない。アカデミーを卒業してからは一人で任務も受けずに只管に修行していた。
理由としては体力不足を補う為だった。技術に関しては前世へととっくに至り、その上でまだ修行を積み重ねている。だが体力だけは新しく身に付けるしかないのだ。
どうして体力も持ち越せるように能力を組んでいなかったんだ最初の私、などと実際にどうやるんだそれというツッコミが入るツッコミを自分自身にしているアカネであった。
そうしてアカネが十分な体力を得たと実感したのが今の年齢なのだ。ちなみにヒアシなどはもう十分なのでは、と数年前からアカネにぼやいていた。
無駄に長く生きている分目標も無駄に高くなっていたアカネであった。
「ヒナタ様ももう十二歳。アカデミーも来年には卒業なされます。これからは立派な忍として頑張らなくてはならないのですよ。そろそろ姉離れをするべきですよ」
実際に妹離れが出来ていないアカネの台詞ではなかった。もしヒナタが本気の本気で甘えて行かないでと言えば、しょうがないですねぇなどとベタベタに甘えさせて一日か二日は留まっていただろう。
それをさせない為にか、この場にはもう一人ある人物がいた。それが三人目にしてこの場で唯一の男、日向ネジである。
「アカネの言う通りですヒナタ様。アカデミーの卒業は問題ないでしょうが、この先ヒナタ様は多くの任務をこなして中忍を目指さなければなりません。宗家の嫡子として恥ずかしくない姿を見せる為にもアカネにかまけてばかりではいけません!」
日向ネジは宗家の嫡子である日向ヒナタのお守り役である。年齢も近く、実力も高く、そしてネジの父親が日向当主であるヒアシの弟だという事が評価されての役目だ。
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