第18話
「それじゃあ、近い内に18階層まで行くのね?」
尋ねるアグライアにミクロ達は頷く。
「今の私達の実力でしたら18階層まで無事に行けます」
今まで主に17階層まで無事に探索が進められているミクロ達はこれを機会に一度団員全員で18階層まで目指すことにした。
「そう、順調でなりよりだけど無理はしては駄目よ?特にミクロ」
「わかった」
一人だけ注意されるミクロは頷いて返答するが、アグライアは果たして本当にわかっているのか不安だった。
「ご安心を、アグライア様。私達も付いています」
「そうね。頼りにしてるわ」
リューの言葉に少しだけ安堵するとアグライアは壁の端で蹲っているティヒアとソファで頭を抱えているリュコスに視線を向ける。
「………大丈夫なのかしら?あの二人は」
「………時期に馴染むかと思います」
「【スターハウンド】と【クリムゾンウルフ】」
「言わないで!お願いだから言わないで!」
「言うんじゃないよ!!」
ぽつりと小さく言ったミクロの言葉に過剰に反応するティヒアとリュコスにアグライアは額に手を当てる。
「……結構いい二つ名だと思うのだけど」
三ヶ月に一度開かれる『神会』により、Lv.2のティヒアとリュコスの二つ名が決まった。
ティヒア・マルヒリー、二つ名【流星の猟犬】。
リュコス・ルー、二つ名【紅蓮狼】。
神々から与えられた痛い二つ名を聞いた二人は悶絶していた。
「リュー、アグライア。ティヒアとリュコスは何を嫌がっているんだ?」
しかし、ミクロには何で二人が悶絶しているのか理解出来なかった。
ミクロにとって二つ名はそういう名前を付けられた程度の認識しかなかった。
「貴方は知らなくていいのです」
「そうね。ミクロは今のままでいて頂戴」
「わかった」
二人の答えに頷くミクロはそれ以上は何も聞かなかった。
「それでは今日の会議をしてからダンジョンへ向かいましょう。ティヒアもリュコスもいつまでも項垂れていないで準備してください」
「あんたらはいいよな……」
「まだ無理。恥ずかしい」
恨めしい声を出すリュコスに両手で顔を押さえるティヒアを見てリューは息を吐く。
二つ名に呼ばれ慣れているリューと何とも思っていないミクロ。
今だけはこの二人は心底羨ましかったティヒア達。
「今日は中止にする?」
二人の様子を見てミクロは今日のダンジョン探索を中止にしようかと提案をするがリューは首を横に振った。
「大丈夫でしょう。もう少ししたら慣れてくるはずです。ミクロは先に準備をしていなさい」
「わかった」
装備を身に着けるべく先に居室を出て行くミクロ。
少し前に椿に武器の整備を頼んだ武器と道具と回復薬を装備する。
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