4話
ある朝、グリフィンドールの点数が150点も減っていたらしい。
「…はぁ。」
オーシャンは自寮の点数が一夜で消失したという一大事件の顛末を聞いているにも関わらず、口から間抜けな音を出した。
憤りながら事の顛末を話してくれたのは、アンジェリーナだ。話によれば、ハリー・ポッターとその仲間の一年生が、深夜に寮を抜け出して探険していたのが原因らしい。
「150点よ、150点!今年こそは寮杯を取り返せると思ってたのに…!よりにもよってハリーが!」
アンジェリーナの声を聞きながら、オーシャンはぼんやりと、「あぁ、それでグリフィンドール生の雰囲気が殺伐としているのね…」と思った。
しかし、アンジェリーナには悪いが、オーシャンは寮杯の行方などに元々興味は無かったので、何でみんながそんなに怒るのかと首を傾げた。それを言うと、アンジェリーナは「だって、寮杯だよ!?」とよくわからない事を言うのだが、
「確かクィディッチでは、シーカーがスニッチを取れば150点だったわよね?この間のハッフルパフ戦で、ハリーがスニッチを取れなかった様なものよ。そんなに大したことじゃないわ」
オーシャンの言葉を聞いて、アンジェリーナはきょとんとする。その後腕組みして考え込んでしまった。「あれ?、そう考えると…でも…」と、口から漏れている。混乱させてしまった様だ。
オーシャンは笑って、次のクラスで使う教科書を開いたのだった。
ある日、オーシャンはハーマイオニーから、今夜の勉強は見てあげられないと宣言された。今夜の勉強とは、もちろん英語の授業の事だ。ハーマイオニーはほぼ毎日、オーシャンの英語力の向上のために教鞭をとっていた。
「それは構わないけど、どうしたの?」
何の気なしにオーシャンが理由を聞くと、今夜十一時から処罰なのだという。夜の十一時とは、随分遅い時間の処罰だな、と、オーシャンは違和感を抱いた。
ところで、日本の魔術学校では、初等教育で魔術だけではなく錬金術から忍術まで、広く浅く基本を教えている。
オーシャンは忍術の授業で、隠れ蓑術と遷し身の術は得意中の得意だったのである。
そんなわけで、可愛い後輩が遅い時間から処罰を受けると聞いて心配したオーシャンは、得意の隠れ蓑術で処罰に向かう彼らの後を尾行したのだった。
すると彼らが玄関ホールにいたフィルチに出迎えられ、何と城を出て行くではないか。オーシャンは更に後を尾けた。
するとハグリッドの小屋の前で一行は止まり、これから禁じられた森に入ると言うのだから、オーシャンは隠れながら面食らってしまった。
フィルチだけが城へ向かって去っていくのを見届けて、オーシャンはハリー達の前に姿を現した。
「ハグリッド。私も行って良いかしら?」
突然現れたオーシャンに、全員が目を丸くする。声を上げたのはハグリッドだ。
「オーシャン、こんな時間に何しとる!しかもこんなところで!」
「それは、この子達にも言えるんじゃない?」
オーシャンは、ハリーから順に、ハーマイオニー、ネビル・ロングボトム、ドラコ・マルフォイへと視線を移した。
ハグリッドはしょぼくれた声を出した。
「仕方ない…処罰なんだから、仕方ないんじゃ…」
「何故、貴方がそんなに落ち込んでいるのよ?」
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