ハーメルン
侍女のアリィは死にたくない
第19話 敵の罠に飛び込んで死にたくない

ナイトレイドが次なる標的としたのは、ボリックという男だ。
安寧道という宗教団体が近々一斉蜂起を行うことになっており、革命軍もそれに乗じて帝都への襲撃をかける予定であった。

しかし……ここで出てくるのがボリック。安寧道のNO.2であった彼はオネスト大臣のスパイであったのだ。彼は教主を殺して自分がトップに成り代わることをたくらんでおり、また信者たちを少しずつ薬漬けにして操る外道でもあった。
このため、ナイトレイドが彼を殺すことに決めたのだ。

そして、同時に。

「この機会に……イェーガーズを狩る」

ボスであるナジェンダは重い言葉で告げる。
彼らは彼らで自分たちの正義に従っているのだろう。
帝国を守る。その正義は、ナジェンダも認めるところである。
だが、だめなのだ。ナイトレイドとイェーガーズの正義は決して同じ方向を向いてはいない。

今の帝国を変えなくてはならない。その理念をかかげたのが革命軍であり、ナイトレイドなのだから。

「具体的にどうするの?」
「アカメとマインは帝国に顔が割れている。私も含めてな。故にあえて私たちを目撃させ、情報を流す」
「おびき出す、ってことか?」

あぁ、とうなずく。
危険な賭けだ。自ら戦いを呼び込むことになるのだから。
しかし……イェーガーズが脅威であるのは紛れもない事実。ボリック暗殺の際も彼らとぶつかる可能性が高い。
ならば、先手を打って罠にかける。それがナジェンダの考えた、一番勝機のある作戦だった。

「二手にわかれ、それぞれを目撃させる。場所はロマリー街道。その後東と南にそれぞれ向かう姿を目撃させるんだ」
「相手を分散させるってこと?」
「そうだ。全員と全員でぶつかり合うのは危険だからな」

東には安寧道の本部があるキョロク。南は革命軍の本部をはじめ革命軍に協力する町が数多く存在する場所だ。
ナイトレイドの人間がどちらに向かってもおかしくはない。
そして、と彼女は続ける。
これこそが作戦の肝。

「私たちは……ここで待ち伏せをかける」

地図の一点をナジェンダは指差す。
森や岩山だらけの地域で、かつ一本道を崖が囲んでいる地帯だ。ここで襲撃をかけることができれば確かに相手が逃げるのは困難であるだろう。

「で、メンバーは? 二手にどうわけるの?」
「わけない」

マインの問いに、ナジェンダはすぐさま返した。
相手を分けた上で……かつ、全員で襲撃をかける。確実に勝利するため、そしてこちら側の被害をなくすために。
これがナジェンダの決断だ。

「チェルシーには遊撃、そしてラバックには空の警戒を頼む」

うなずく二人。
他のメンバーにも、緊張が顔から読み取れる。
相手は、全員が帝具使い。簡単に倒せる相手では断じてない。
それでも、戦わなくてはならないのだ。革命を成功させるために。

「敵を分断し、その一方を……全員で叩く!!」







(――と、相手は動くつもりでしょうが……彼女、それはわかってるんですかね?)

アリィは本気で、エスデスの指示通りイェーガーズについてきたことを後悔していた。






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