第20話 罠にはめられても死にたくない
これにより、事実上ウェイブは戦線から外れてしまったことになる。
「標的外の人間を排除できたのは幸運だったな」
砂煙の中、声が響く。
そこから現れた影はナイトレイドのボス、ナジェンダ。
さらにその後ろからはインクルシオを着たタツミ、アカメ、レオーネ……
スサノオを含め、ナイトレイドの近接戦闘者全員がそこにそろっていた。
「ボルス、そしてセリュー。お前たちは革命軍の中でも標的だ。覚悟してもらおう」
「コロ、きょだ……っ!!」
コロに戦闘態勢をとらせようとしたが、僅かなところで銃撃に気づき回避するセリュー。
そう、この場にいたナイトレイドのメンバーはこれだけではないのだ。
「シェーレの仇……必ず撃ち抜いてやるわ、セリュー・ユビキタス!!」
目の前でシェーレを殺され、復讐に燃えるマイン。
今ここに、ナイトレイドの戦力がすべて集結していたのだ。
だが――
「くく……クックックック。やはり悪は卑劣で、そして単純だな?」
顔をあげたセリューの顔にあるのは、狂気のごとき暗い笑み。
そこに追い詰められた様子はまったくなく、むしろ余裕すら感じさせる雰囲気にナジェンダの胸の中に違和感が湧き出てきた。
彼らは……まったく驚いていない?
「どういう、ことだ?」
「お前たち悪が卑劣な策を企んでいることも、私たちの戦力を分けてそこを叩こうとしたことも……アリィさんはすべてお見通しだったぞ?」
ゆっくりと指を突きつける正義の狂信者。
セリューの余裕とは裏腹に、あせりに満ちた声が響く。
「ナジェンダさん! 空から何か来てる!! しかも、見えないように糸で作った障害を全部よけてやがる!!」
結界を貼り、他の戦力が来ないか警戒していたラバックの声。
それは、新たな乱入者の到着を告げる声。
「上か!」
セリューやボルスとはナイトレイドをはさんで反対側に、一人の人影が降り立つ。
「会いたかったよ……お姉ちゃん」
「……クロメっ」
イェーガーズのメンバーにして、アカメの妹であるクロメ。
彼女はゆっくりと刀を抜くと、上に掲げる。
「私ね、前と違って死体なら人間以外でも人形にできるようになったんだ……!」
彼女の帝具、死者行軍八房。切り殺した相手の死体を人形として操ることができる刀型の帝具。そして何人かの人間、あるいは危険種の死体人形と一緒に、ひときわ巨大なものが現れる。
骨でできた恐竜のような巨大な危険種。
「それがたとえ……超級危険種のデスタグールでもね!」
前には帝具使い二人。後ろには死体人形を従えたクロメ。
罠にかけたはずが……完全にナイトレイドが挟み撃ちにされた状態だった。
人数差も、死体人形とコロを含めれば覆された状況になる。
そしてさらに、空の上にはもう一人。
「ではナイトレイドの皆さん。よく聞いてください」
エスデス将軍が用意したエアマンタに乗り、声を張り上げたのはアリィ・エルアーデ・サンディス。
さらに彼女は、一緒に乗せていた人影を見えるように引っ張ると、腰からナイフを抜いた。
「き、さま……!」
「確か、チェルシーとか言ってましたっけ? 革命軍に入ったという情報があった暗殺者ですね。彼女もナイトレイドなのでしょう?」
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